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釣りを通じた出会い/趙晃來

コツン、コツン。竿先から感触が伝わってくる。 (まだまだ、今じゃない) グ、グ、ググググ。竿先がグーンと引きこまれる。 (よし、今だ!) タイミングを合わせて振り上げた竿からは、海中で暴れるタチウオの…

音楽の息吹/夫星琴

北アイルランドの多くのパブでは、週末になると生演奏のセッションが開かれ、音楽が人々の生活に溶け込んでいる。先日、ふと立ち寄ったベルファストのアイリッシュパブで、隣に座った常連客が「今日は少しいつもと様…

「音」を奏で日々を彩る/朴信陽

私は神戸初中・中級部から朝鮮大学校までの10年間、吹奏楽部に所属した。フルートと共に過ごした青春の日々に思いを馳せながら、あの頃を思い出したことも1度や2度ではない。しかし教員になってからは時間や場所…

葛藤と気付き/姜希純

朝鮮大学校政治経済学部に在籍時、私は、学べば学ぶほど、自分の進路に疑問を抱くようになった。地域の活動家や朝鮮学校教員の数が足りないという現実を目の前にして、私が弁護士を目指してよいのだろうか、弁護士に…

西東京の潜在力/趙晃來

「ウリ民族フォーラム2024 in西東京」の開催地、J:COMホール八王子にはウリハッキョを支える多くの同胞と日本の支援者たちが集まっていた。 フォーラムのステージは西東京第1・第2初中の児童・生徒た…

言葉の壁/夫星琴

 「かれらが私たちの言葉を理解しないのは、かれらが私たちの言葉を聞いていない、それがかれらの問題である」(映画『ベルファスト』より) 英国とアイルランド共和国が領有権を主張する北アイルランド(アイルラ…

大丈夫、1人ではない/朴信陽

「ウリハッキョ」。その言葉は私を時々、小6の秋へといざなう。まだ日本学校に通っていたあの頃、「ウリハッキョ」といえば、舞台上できらびやかな衣装に身を包んだ同年代の児童たち、老若男女問わず七輪を囲む同胞…

抱いた希望/姜希純

東京朝鮮文化会館に広がる演壇、ずらっと並ぶ弁護士の先生たち。集まったたくさんの同胞たちと大きな拍手の音。何年経っても忘れられない光景だ。 2013年、ウリハッキョを高校無償化制度から除外した日本政府に…

南武アボジキャンプ/趙晃來

8月24日、南武初級。41人の子どもたちが続々と体育館に集まってくる。南武初級のアボジキャンプがあるのだ。2016年に初開催し、今回で5回目となったアボジキャンプは夏休み最後の思い出作りとアボジたちの…

北アイルランドを知る/夫星琴

小学生の頃、英国の正式名称 United Kingdom of Great Britain and Northern Irelandを覚えるため、世界地図を広げアイルランドと色分けされた「北アイルラン…

アボジの思いを心にとめて/金サラン

「そんなふうに育てた覚えはない」。震える父の声に、後悔や不安よりも心の奥底にしまっていた思いが大声になって出た。「パパのことが大好きだから、もうルーツを隠したくないし、向き合っていきたいねん」。 朝鮮…

学美と私/玄明淑

ウリハッキョの学生が参加する行事は実にさまざまで、中央体育大会や芸術コンクールに口演大会などたくさんある。学生数の割合から考えると本当に忙しい。在日朝鮮学生美術展覧会(以下、学美)は、初中高のすべての…

明日を支える希望の汗/黄炳柱

今年も、ウリハッキョの生徒、学生たちによる夏期社会実践活動が始まった。かれらは活動期間、夏期学校の運営や同胞訪問、日校生サマースクールの動員活動や運営参加など、たくさんの貴重な経験をすることになる。私…

民族教育16年生/河美珠

先日栃木にある朝鮮学校を訪れた。初級部1年生のクラスにはたった1人しかおらず授業は先生とマンツーマンだ。その子は休み時間になると同時に外へ出てオンニ、オッパたちと元気に駆け回っていた。年齢に関係なく親…

故郷の味を追い求めて/金サラン

父が在日朝鮮人、母が日本人のわが家では朝鮮料理が食卓に並ぶことはほとんどなかった。いとこによるとハルモニは料理上手だったそうだ。しかし父に聞いても「貧しくて子どもの時は食べ物らしいものを食べていない」…

良妻賢母の呪縛/玄明淑

7月12日、オモニの7回忌を迎える。専任活動家のアボジを支え5人の子をウリハッキョに通わせ、苦しい家計を一身に担い働き続けたオモニは、同時代を懸命に生きぬいた在日朝鮮人2世の女性のひとりであり、「良妻…

笑顔もたらす「花火」を/金徳誠

夏休み、夏祭り、花火大会。子どもたちはこれらの単語を一つだけ聞いてもウキウキが止まらないだろう。その全部が揃ったイベントが西東京の八王子支部にある。「ハチアイフェスタ」だ。これは、2023年7月に4年…

舞台は一人では作れない/河美珠

5月23日、朝大でオープンキャンパスが行われ、去年に引き続き演劇に出演した。劇中模擬授業の準備をする朝大生のセリフで「もう卒業か…全然実感わかないな」と出てくる。教育実習をみすえた模擬授業も、卒業とい…

わが心よ、歌となりエルファとなれ/金サラン

悲しい時、嬉しい時、いつもそばに歌があった。ひとりっ子で留守番も多かった子ども時代、寂しさや怖さを歌がなぐさめてくれた。私が4歳の時に亡くなった父方の在日一世のハルモニとの唯一の思い出は、所かまわず常…

「中1」/玄明淑

今年度は7年ぶりに中級部1年生の担任になった。この6年間ずっと2、3年生を受け持ってきたので、毎日が新鮮でとても楽しいし、忙しい。もちろん授業で毎年全学年を担当しているが、朝読書から帰りのホームルーム…