
チェサという時間/金里枝
2025年06月09日 09:00
嫁いで驚いたのは、大晦日から正月にかけて行われる「チェサ(祭祀)」という祭事だった。朝から晩まで続く料理作りや親戚、来客のもてなしは、実家では経験のない文化で、当時21歳だった私は年末年始が嫌になるほ…

まだまだ娘でいたい/李仙香
2025年06月01日 12:00
私は幼い頃から、5月が好きだ。アボジの誕生日が5月1日、その翌日がオモニの誕生日。5月は母の日もある。 うちのオモニは今年78歳になった。娘の私から見てもキレイでおしゃれ、そして好奇心旺盛。今も昔も憧…

脈々と受け継がれるもの/梁淑子
2025年05月23日 09:00
私が住む大阪では今「万博」がアツい。今回の万博は、一人ひとりが互いの多様性を認め、「いのち輝く未来社会のデザイン」実現を理念としているそうだ。この理念を脈々と未来へ受け継ぐために、何とも不気味な公式キ…

親友とは何だろう/曺洋哉
2025年05月16日 10:00
親友とは、友情とは一体何だろう。恥を忍んで表明すると、私は友だちと呼べる人間が少ない。帰省するたびに母親から「あんた友達おんの?」なんて聞かれる始末だ。 留学同で活動していた学生時代、親友(同志という…

子に生かされて/金里枝
2025年05月12日 09:00
若くして結婚し、東京から群馬に嫁いできた私は、まるで異国に足を踏み入れたようだった。各地から学生が集う朝大に通っていたら、どの地域でも、すんなり溶け込めただろうかという不安な気持ちは、家族や友人に囲ま…

大運動会に行こう!/李仙香
2025年04月28日 10:00
青商会が「大運動会」を企画してるみたいだという話を聞いたのは1年くらい前だっただろうか… 京都同胞社会に笑顔と元気を、子どもたちに京都同胞社会のパワーを見せてあげたいという府青商会会長の思いがきっかけ…

“遅い春がやってきた”/梁淑子
2025年04月21日 10:00
2025年4月18日。大阪中高新校舎にて2025年度入学式が行われた。 こんなにも「春」が待ち遠しかった年はない。春の代名詞と言えば桜だが、桜の開花は本格的な春の訪れを告げてくれる。夏になると翌春に向…

ウリハッキョを羨望して/曺洋哉
2025年04月16日 10:00
日本人の父、在日朝鮮人の母を持ち、大学まで日本学校に通っていた私にとって、在日朝鮮人としてのアイデンティティーは、あまりにも脆く頼りないものであった。今思えばこの消化し切れない孤独と葛藤を発散するため…

母である限り/金里枝
2025年04月07日 09:30
とある温泉地での出来事だった。温まった身体で、服を着ようとロッカーに向かうと、突然の怒鳴り声が響いた。「なんでお母さんがそんなことまでやらなきゃいけないの!」と激しい剣幕で怒る母親と、泣きじゃくる5歳…

成し遂げた夫婦の目標/李仙香
2025年03月31日 13:00
この度、21年ぶりに「それぞれの四季」に寄稿することになった。 21年…あっという間だったと言いたいところだが、振り返ってみれば一日、一週間、一カ月、一年…いろんなことがあった。いや、あり過ぎた。たく…

原点、そして未来へ/朴信陽
2025年03月24日 09:00
16日に、千葉初中の卒業式が行われた。前年度に私が担任を務めたクラスの生徒たちが、愛する学び舎を巣立った。私にとって、「教え子」を送る初めての卒業式となった。

希望をもたらす存在に/姜希純
2025年03月15日 08:00
弁護士になるためには、1年間の実務修習を経る必要がある。修習では、弁護士だけでなく、裁判官や検察官の職務も経験する。私も大阪で1年間修習に取り組んできたが、それも終わりに差し掛かり、4月からはいよいよ…

感謝/趙晃來
2025年03月09日 10:00
私と妻は同じ日本の大学の寮で暮らしていた。お互いに大学時代は特に接点があったわけではなく、名前と顔が一致する程度しか知らなかった。しかし卒業後、偶然にも同じ町で暮らしていて、駅前のコンビニで再会。それ…

異郷で抱いた誇り/夫星琴
2025年03月02日 08:00
海外でボランティアをしようと決めた理由は、「人助けをしたい」でも「新しい生活を始めたい」でもなかった。在日朝鮮人の存在を知ってもらい、ウリハッキョのことを伝えたかった。それを聞いた人々がどんな反応を示…

あふれでる「心の叫び」/朴信陽
2025年02月24日 09:00
私は中級部からウリハッキョに編入した「編入生」である。そんな私が朝鮮学校に通いたいと思ったきっかけは、神戸初中のバザーに訪れた際、朝鮮舞踊を踊る色とりどりのチマ・チョゴリ姿を見たからであった。 入学式…

祖父の思い/姜希純
2025年02月17日 09:00
司法試験を乗り越えるにあたって、私にはもう一つの原動力があった。それは、一世である祖父の存在だ。 祖父といえば「勉強」だ。読書が大好きで、新聞は隅から隅まで目を通し、入学式の度に私が持ち帰った教科書で…

トルリムチャ/趙晃來
2025年02月11日 08:05
1月29日、SNSやメールでお祝いのメッセージが届いた。朝鮮はこの日、「ソルナル」と呼ばれる旧暦のお正月であるからだ。民族伝統の祝日を迎え、ふと故郷での温かい記憶が蘇った。 私が初めて故郷を訪れたのは…

異邦人の「ウリハッキョ」/夫星琴
2025年02月02日 09:00
北アイルランド紛争による暴力や分極化に苦しむ個人やコミュニティを支援する施設でボランティアとして活動する中、学生、教育、地域、移民など、さまざまな背景を持つ団体の人々と接する機会を得た。特に、統合教育…

「ながた」の灯のように/朴信陽
2025年01月27日 09:00
1995年1月17日。阪神淡路大震災が起きたこの日は、多くの人にとって忘れられない、忘れてはいけない、そんな日である。 千葉初中で教壇に立って、早2年が経とうとしている。冒頭の日になれば、私は特に自分…

原動力/姜希純
2025年01月20日 09:05
司法試験合格までの道のりはとても長かった。できない自分に腹が立ち、悔しくて涙を流したこともあった。 そんなときに私の背中を押してくれたのは、ウリハッキョであった。 道を見失いかけたときに