〈人・サラム・HUMAN〉東京外国語大・大学院修士2年/田部井杏佳さん
2016年12月08日 10:31 主要ニュース「証言集を読み進める過程で、きちんと謝罪もしない政府のひどさが浮かび上がってきた。被害者と加害者がいる問題なんだということを現実として思い知らされてから、歴史についてちゃんと向き合いたいと思うようになった」
現在東京外国語大学大学院の修士課程で日本軍「慰安婦」問題について研究する田部井杏佳(きょうか)さん。25歳。大学時代、吉見義明教授のゼミに参加するようになり、在学中には吉見教授の名誉毀損裁判が起こった。裁判を傍聴しに行き、「司法の場が独立しているとはまるで思えない判決」に疑問を抱いたこと、そしてその場に集った支援者たちとの出会いが現在の研究の道へと導いた。最近では、南で行われている水曜デモや、人権協会性差別撤廃部会が主催する外務省前でのデモ行動にも積極的に参加している。
「何も見ないで生きようと思えばそれも不可能ではないと思う。けれど私とは危機感の持ち方の違う朝鮮女性たちの存在が、見て聞くことの大切さと自らの問題として深く考えるきっかけをくれた」
今回修士論文では、世界各地でその設置をめぐり議論となっている「少女像」について執筆するという。田部井さんは、「私にとって、何も知らないということを自覚したことが一番大きな学びだった。日本政府がしっかり過ちをを認め謝罪と賠償をすること、そしてそれが日本の公教育の場にしっかりと反映されることが大事だと思う」と話した。
(賢)