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〈取材ノート〉壊される「日常」

2016年04月13日 14:01 コラム

取材ノート3月30日。文科省記者クラブ。洪水のように焚かれるフラッシュの先には17歳の生徒たち。文科省通知に抗議する朝鮮学校側の記者会見、報道陣から矢継ぎ早に質問が飛ぶ。「肖像画は」「指導者礼賛は」。教育現場に外交上の圧力を加える、政府の声を代弁するような問いに対し「朝鮮学校だけを狙い撃ちしている、学ぶ権利を侵害する政府の人種差別こそが問題の本質だ」と同席した弁護士が反論する。

文科省への抗議前、「(職員は)前と同じ人みたい」「え、今日は何を訴えよう…」と話す生徒たち。そのやり取りが、彼らの前に立ちふさがり続ける異常な現実が「日常」と化したことを如実に表していた。

馳文科相は「交付権限は地方自治体にある。減額や自粛、停止を指示する内容ではない」と話すが、茨城県では2016年度の補助金を打ち切る方針を示す等、自治体はこれを「圧力」と認識。ヘイトスピーチを抑止する法整備の議論が国会で進んでいるが、生徒たちの日常を破壊する「国家主導のレイシズム」がまかり通る社会で、差別は噴出しつづけるだろう。

頭に浮かぶ人たちがいる。「紙面には書けないだろうけど…」。そう前置き、堰を切ったように困窮した現状を吐露する学校関係者や、状況を打開しようと試行錯誤する同胞たち。「次は僕が母校を守りたい」と巣立つ卒業生…。

同胞社会の一喜一憂の源はウリハッキョにある。だからこそ、現場の声を第一に、ともに悩み、抗う、そんな紙面で答えたい。

(宥)

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