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〈くらしの周辺〉黄金世代のベビーたち、東北ハッキョを訪れて/朴敦史

2016年03月10日 14:26 コラム

東日本大震災から5年が経つ。あまりに多くの犠牲と復興への険しい道のりが残された東北。仙台市の東北ハッキョも被災し大きな被害を受けた。震災直後、大阪から仙台に向かい、東北ハッキョに約2週間滞在しながら避難生活を撮影した。先行きが見えず不安もある一方、同胞たちの紐帯によって明るくもあった日々の中で、同年代のソンセンニムたちと間近に接した経験は忘れがたい。

零下に達する食堂の床に寝泊まりしながら、同胞たちの安否確認や救援、ハッキョの再開に燃えるような使命感を漲らせていた先生たち。日中の支援活動後、遅くまで激論を交わすことも。在日朝鮮人としての矜持、民族教育への確信を端々に感じた。

日本社会で生きてきた私にとって、そうした生き方を選んだ先生たちに一種の畏敬の念を感じずにいられなかった。

リアルな存在としての「ソンセンニム」の輪郭は、のちに『60万回のトライ』の製作にあたって自身の処し方を決める時、大きな影響を与えた。私は書店員という職を辞し、映画製作へ専念するようになった。その意味では、私もまたソンセンニムから学んだのであった。

なかには結婚し子どもの生まれた先生もいる。東北ではそうした震災後ベビーを「黄金世代」と呼んでいるという。昨年には創立50周年を迎えた東北ハッキョ。未来への芽はしっかりとした幹のもと確かに息づいている。(朴敦史、コマプレス、「60万回のトライ」共同監督)

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