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〈それぞれの四季〉涙は/金春玉

2015年12月11日 14:28 コラム

「今日、来年度新入生の入学願書を受けとりました。」

教員室で嬉しい報告を聞く。私はふと、自分の入学願書を持ってきた父母はどんな気持だったのだろうかと考えた。実家がハッキョから遠かったため、低学年のうちは、寄宿舎で暮らすことになった。ハッキョに行きたくないと言った私を母は「チョソンサラムなんやからウリハッキョいかなあかんやろ」と涙を流しながら叱った。寄宿舎に入った日のことは今でも頭に焼き付いている。両親は夕方になる前に帰ってしまい、一人ぼっちになった。見知らぬ先生と中学生の先輩たちがいて、私に親しく話しかけてくれるが、悲しくて、食事の途中にトイレに行くと言って、そこで一人泣いた。それから三年間は家が恋しくてよく泣いた。しかし、にぎやかな同級生や優しいオンニ、オッパ達、そして、「第二のオンマになる」と言ってくれた担任のソンセンニンに囲まれ、ウリハッキョが大好きになった。

それから月日は経ち、今私は教師として同じ場所に立っている。

入学の日、オモニのそばを離れたくなくて涙を流し

卒業の日、ウリハッキョを離れたくなくて涙を流す

9年が経つ間に私の心を奪ったウリハッキョ

これは卒業を控えた生徒の詩だ。ウリハッキョで流した涙は、花に柔らかく降り注ぐ雨のように、私をチョソンサラムとして成長させてくれた。一枚の願書に込められた、父母たちの変わらぬ想い。

ウリハッキョは今日もたくさんの涙と笑顔であふれている。

(和歌山県在住、教員)

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