〈取材ノート〉共にするということ
2015年12月09日 15:10 コラム互いに手を差し伸べ、笑い時には涙する。11月中旬、東京朝鮮歌舞団の結成50周年を記念する公演を取材したとき、そんな温かい空気が会場を包んでいた。公演中も客席まで来ては、同胞たちのそばに寄り添う団員たちの姿に、言葉こそシンプルだが同胞社会に根ざすことは何かということを考えさせられた。
「同胞たちの支えがあり迎える50周年という節目。だからこそ同胞たちへの感謝の気持ちを込めたい」と、練習中から団員たちは口を揃えるように話していた。そして迎えた本番当日。その時間を共にした観客たちは、弾けんばかりの笑顔で至福の時を過ごしていた。
公演を観た宋麻純さんは、朝高時代に合唱部に所属していた時、歌舞団OBの金明淑さんの指導を受けたことがあったという。「今日は久しぶりに『春の歌』など懐かしい歌と歌声を聞いて当時を懐かしく思い出した。私の結婚式にも来てくれたように、子どもたちの結婚式のときも是非東京歌舞団にお願いしたい」と嬉しげだった。
団長の歌を欠かさず聴きに来るという女性同盟東京・中杉支部顧問の金日先さん。「昔からあいさつもきちんとして礼儀正しい金団長の大ファン。横で汗を拭いてあげたいぐらいだよ。50周年、心からおめでとうと言いたい」と話した。
歌舞団の存在意義は同胞社会のなかにある、そのことを身にしみて感じた一日だった。
(賢)