〈取材ノート〉分断の維持に「貢献」しないために
2015年11月20日 09:54 コラム70年前の「解放」は、朝鮮民族にとって分断という苦難の始まりだった。45年、日本の敗戦によって植民地支配から解放された朝鮮は、米国のイニシアティブにより北と南に分断され、不当にもそのまま固定化されてしまった。自主的平和統一という課題はいまだ果たされておらず、分断の長期化による北南間の隔たりはますます大きくなっている。
在日同胞社会でもこの間、世代交代が進み、1世のほとんどは統一祖国を見ることなく永眠した。一方で、3世、4世といった若い世代の在日同胞たちの間で、祖国統一に対する関心は薄れてきている。日本の同化政策によって民族意識が希薄化するなど、さまざまな要因が考えられるが、無知や無関心もまた、分断体制の維持に「貢献」してしまっているのだという自覚を、われわれ若い世代が持たなければならないと思う。
南では10月12日、中学・高校用の歴史教科書を政府が編集する「国定教科書」に一本化するという方針が明らかにされた。朴正熙独裁政権時代を彷彿とさせる時代錯誤の政策によって、反共イデオロギーがますます強化されてしまうようでは、民族の統一と和解はさらに遠のいてしまう。