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〈月間平壌レポート 10月〉党創立70周年、史上最大級イベントの舞台裏

2015年10月29日 11:41 主要ニュース

一心団結を体感させる“人民の祝祭”

【平壌発=金志永】朝鮮労働党創立70周年に際して、平壌の金日成広場では閲兵式と市民パレード、トーチマーチなどが行われた。世界のメディアが伝えた史上最大級のイベントは、人民が主人公となる人民の祭典であった。パレードに参加した人々は、広場を埋め尽くした歓喜の波が収まった時、一様に充実感、達成感を味わっていた。

心を一つにした「花絨毯」

朝鮮のように党創立日を盛大に祝う国は他にない。社会主義国では党が国家を領導する。朝鮮では、あらゆる部門、単位に党の末端組織である「党細胞」が設けられ、大衆と結びつくための活動を行っている。人々にとって党は身近な存在で、生活の一部だ。

主席壇を見上げ「万歳」を叫びながら行進する平壌市民たち

主席壇を見上げ「万歳」を叫びながら行進する平壌市民たち

国家科学院・生物工学分院で研究活動を行っているチョン・ウンヒさん(32)は、党創立70周年を祝う市民パレードに参加した。「仕事と生活の両面で模範的な人」が推薦を受けるという。チョンさんの職場では、全体の20%がパレードに参加した。

「党創立70周年に向けて研究課題達成のためにがんばった。それが評価されたのだから嬉しかった」

チョンさんは、党に対して「感謝の念」を抱いている。結婚して、子どもを育てる母親になってから、家庭を犠牲にして研究に没頭する生活を続けることへの迷いが生じることがあった。今年の3月8日、「国際女性デー」に際して行われた平壌サーカス団の記念公演に、夫婦同伴で招待された。生物工学分院の党組織が彼女の働きぶりを評価し、公演観覧者として推薦してくれたのだ。夫婦で着飾って観劇した日、チョンさんは、自分の仕事を応援してくれている夫に対して、少しは面目が立ったような気がしたという。観劇の後には記念品を受け取った。化粧品や高級酒などが箱詰めされ、品目明細の最後には「朝鮮労働党中央委員会 第1書記 金正恩」と記されていた。

党に「絶対的信頼」を寄せているチョンさんにとって、市民パレード参加は「意義深い体験」だった。パレードでの担当は「花絨毯」。広場一面にびっしりと立ち並んだ人々が、色が変わる造花の束を両手に持ち、行進が続く間、「自主」「先軍」などの巨大文字と様々な模様を描き出す。

練習は8月末から始まった。すべての「花束」が揃わなければ「花絨毯」の練習は成立しない。参加者たちは、集合時間に遅れないために、渋滞に巻き込まれるかもしれないバスなどの交通手段は使わず、徒歩で現地に向かった。チョンさんによると「練習中、誰か一人でもミスをすると全員が心を痛めた」という。常に緊張感を持って練習に臨み、体調管理にも気をつけた。誰かが病欠して途中交代があると、またミスが出てしまうからだ。

「一糸乱れぬあの動きは、心を一つにした参加者たちの自覚と責任感の賜物。上から命令するやり方では決して実現できない。」

10月10日、イベントの当日、チョンさんは広場の前列中央付近、人民軍軍楽団の隊列と並んで立った。主席壇に金正恩第1書記の姿がある。直に見るのは初めてだ。熱いものがこみ上げて来た。目の前を行進する隊列の「万歳!」の歓呼に自分の声を合わせた。

その日、閲兵式での人民軍将兵の力強い足並み、最先端の武力装備を見ながら、チョンさんは「自分たちに恐れるものなどない」と実感したという。海外の一部メディアは、平壌の大規模イベントを「上からの強制動員」「国家予算の浪費」というレトリックを使って誹謗中傷したが、パレードに参加した女性科学者は「他の誰かのためではない。私は朝鮮が誇る一心団結の力を世界に見せつけたかった」と、その時の心境を語った。

炎で決意示した青年たち

夜には金日成広場でトーチマーチが行われた。青年たちによる炎の祭典だ。スローガンを灯した隊列が進み、広場では縦横無尽に動く無数のたいまつが、様々なテーマを視覚化した。

金亨稷師範大学3年生のパク・ソンヒさん(19)は、広場のトーチを担当した。練習のスタートは8月上旬。炎天下で体を動かし続けることは大変だったが、「友だちと励ましあいながら乗り切った」という。

トーチによって、広場に文字やマークを描き出す(朝鮮中央通信=朝鮮通信)

トーチによって、広場に文字やマークを描き出す(朝鮮中央通信=朝鮮通信)

広場に描かれる文字や図柄はあまりにも巨大で、トーチを持つ個々人は全体像を見渡す事が出来ない。それに数多くの場面転換がある。自分が移動すべき位置を正確に定めるのは至難の業だ。広場に印をつけても、本番が行われる夜には見えない。

パクさんによると、位置の見極めは「不断の訓練を通じて体で覚える」のだという。一人では移動の判断はできない。前後左右の人々と息を合わせ、同じ歩調で動く。

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