安保法制論議
2015年06月17日 13:50 春・夏・秋・冬集団的自衛権を行使するための安保法制の合憲性をめぐる論議が毎日のように報じられている。もっぱら合憲と言い張る安倍政権に対して、国民の目は冷ややかだ。5月30、31日に共同通信が実施した世論調査によると81%が「説明不足」と答えている
▼政権側の主張はこじつけ、でたらめとしか言いようがない。集団的自衛権の行使容認を正当化するために、憲法を安保法制に無理やり当てはめようとしている。これを正当化するための論拠として過去の政府見解などを持ち出しているが、その解釈を著しくねじ曲げており、整合性はまったくない。政権与党が衆院憲法審査会の参考人として推薦した憲法学者までもが憲法違反と断じるなど、大勢の学者が違憲という立場を示している
▼しかし安倍政権の暴走は止まらない。「自衛の措置が何であるかを考え抜くのは憲法学者でなく政治家だ」などと切り捨てるありさまだ。傲慢なこの政権は反対意見に傾ける耳を持たない。「夏までに」と米国と約束した安倍政権は、結論ありきで違憲法案の成立を急いでいる
▼歴代政権は、集団的自衛権の行使は、日本を防衛するための必要最小限の範囲にとどまるべきであり許されないとの憲法解釈を堅持してきた。ところが安倍政権は、歴代政権が踏襲してきた憲法解釈を180度変えようと躍起になっている。今夏、敗戦70周年に際して発表するという「安倍談話」の内容が透けて見えるようだ。(進)