〈それぞれの四季〉ある聾唖者との出会い/安正順
2014年12月19日 14:10 コラム私が障がい者に対して目を向け始めたのは、恥ずかしながら最近である。
世界卓球選手権大会女子団体で優勝した朝鮮のリ・ブニ選手の息子が脳性麻痺であること、現在朝鮮障害者体育協会書記長として活動しているとの報道に接してからだ。在日同胞社会にも障がい者の家族グループ「ムジゲ会」がある。写真で見る「ムジゲ会」のオモニたちの表情はすっきりしている。それぞれの悩みを抱えながらも子への愛情が、親オモニたちの心をより深く豊かにするのだろう。
私が新潟で出会った聾唖の桑原絵美さんにも、似たような印象を受けた。彼女は、朝鮮デフツアー担当者手話通訳として5回訪朝し、朝鮮の聾唖者たちとの交流を深めるため精力的に動いている。この度、その報告会があり、興味深い話を聞いた。
「5回目の朝鮮は最高でした! ムンスプール、青年公園でに行って朝鮮の人たちと思いっきりはしゃいできました」と、彼女は笑顔で語る。あたかも東京ディズニーランドへ行ってきたかのような話し振りだった。
偏見に満ちた朝鮮のイメージがどんどん日本人の中に溜まっていく中、彼女が新鮮にみえたのは、私だけではなかっただろう。聾唖者ということを感じさせない前向きな姿勢は素敵だった。ハンディを負っても堂々と生き、活動する人たちに心から拍手を送りたい。
「聾唖者には国境がありません! 世界中の人はみな友達です!」
心のバリアーフリの大切さを、また一つ教えられた。
(ハングル講師)