【寄稿】強制連行跡地・朱鞠内での高校生ワークショップに参加して/藤代隆介
2014年02月28日 10:32 主要ニュース「いまだ戦後は続いている」
北海道・札幌市から北に向かい、高速道路と国道を経由して約4時間車を走らせると、冬には最低気温が日本一を記録し、全面氷の上でワカサギ釣りを楽しむ人たちでにぎわう朱鞠内湖がある。朱鞠内は、1938年から43年まで水力発電を目的とした人造ダム湖建設のため、朝鮮半島から強制的に連行されてきた朝鮮人と日本人タコ部屋労働者の200人以上が犠牲となり、重労働とわずかな食事、逃亡させないための見せしめのリンチが横行し、死者は共同墓地の奥に埋められたという場所である。
1980年春から、わずかに残された犠牲者の命の痕跡をもとめて立ち上がった有志たちで、笹薮の中に無造作に埋められた犠牲者の遺骨発掘が始まった。その輪を少しずつ広げ現在は、在日朝鮮人や朝大生、アイヌ民族、日本人、さらにはソウルからも多くの青年や学生たちが毎年朱鞠内に集ってくる。名称も「東アジア共同ワークショップ」と改名し、延べ2000人を超える人々がこのワークショップを経験した。
そして、「東アジア共同ワークショップ」の高校生バージョンができないかということで、2006年から「東アジア高校生共同ワークショップ」が始まった。今年は8回目を迎え、2月15-16日にかけて行われた。
この高校生ワークショップは、朝鮮学校の高級部生と日本の高校生がともに朱鞠内にあるお寺の本堂に一泊しながら、歴史の勉強をし、フィールドワークを行い、そして夜更けまで行われる討論を通して互いに理解を深めていくのが最大の目的。8回目となった今回は、毎年一緒に参加してくれる近隣の私立高校サッカー部と陸上部合わせて20人のほか、日本の大学生10人、そこに在日朝鮮人、ソウルからの留学生、日本学校の先生などスタッフを含め総勢100人近くが集まった。