〈人・サラム・HUMAN〉照明士・呉光雨さん
2013年11月12日 15:24 文化 文化・歴史朝鮮の芸術を陰で支える
舞台を光と闇で自在に演出する照明士。全国ツアー中の金剛山歌劇団の舞台裏で呉光雨さんに出会った。かつて大阪朝鮮歌舞団で、カヤグム、アコーディオン奏者、歌手として、さまざまな舞台に立った。一身上の都合から退団した後も、舞台への愛着と夢を捨てきれず、ダンプカーの運転をしつつ、大阪朝鮮吹奏楽団でトロンボーンを吹いた。アルバイトをして照明技術を学び、再び舞台に関わることに。そして7年前、転機が訪れた。平壌で開催された、4月の春の祝典に日本人奏者の舞台サポートとして関わったのをきっかけに、金剛山歌劇団の照明士にと声がかかったのだ。
「昨年、2月の祝典で、歌劇団の照明士として、平壌大劇場の調光室で働けたことは私の誇りだ」と胸を張る。「19歳で歌舞団に入団、還暦を前にして、憧れの舞台に関われた。50歳を過ぎて回ってきた『やりたかった仕事』に感謝している」。「劇団の灯火を消してはいけない」との思いを胸に、経験と人脈を活かして「灯火を守る」可能性を探し続けている。(潤)