茨城民族教育歴史資料室「想」が開設/民族教育史、次世代に伝え
2013年10月21日 15:52 主要ニュース 民族教育茨城県における民族教育の歩みを後世に伝える歴史資料室「想(뜻)」が13日、茨城朝鮮初中高級学校の2階に開設された。
祖国解放後、国語講習所から始まった茨城県の民族教育が今日までいかにして守られ発展してきたのかが数百枚の写真と資料、展示物などで紹介されている。53年、土浦小松町校舎における茨城朝鮮中学校の開校、59年に行われた水戸市への校舎移転、62年に焼失した校舎と寄宿舎の再建、そして92年、1世の意思を引き継いだ2世、3世たちによる新校舎建設など、どの写真や資料にも祖国の支えの中で幾多の困難を乗り越えながら学校を守ってきた同胞の深い愛情が映し出されている。
資料室にはかつて日本の民族学級で催された祖国に帰国する生徒たちの送別会の写真や1949年、学校閉鎖に反対した水戸朝鮮人少年団が発表した声明文(原物大、レプリカ)など貴重な資料も展示されている。
歴史資料室を観覧した同胞、生徒たちからは「自分が幼稚園に通っていた時の写真もあって嬉しかった。ハラボジ、ハルモニたちがどのように学校を守ってきたのか、子どもたちにしっかり学んでほしい」(金里枝さん、38、群馬)、「話で聞いていた出来事を実際の写真で見ることができた。学校がいかに大切な場所であり続けてきたのかを知った」(呉海晶さん、高3)、「貴重な歴史を自分たちが知るばかりでなく、日本の方々にも広く伝えるために資料室を利用していきたい」(鄭在弘さん、高2)などの感想が寄せられた。
茨城県では歴史保存活動として2001年に地方在日朝鮮人史をまとめた冊子「茨城における在日朝鮮人の歩み」が発刊された。またこれをベースにして2009年には映像作品「未来をあきらめなかったもの」(「ウリ民族フォーラムin茨城」で上映)が制作された。
実行委員会では、年間を通じて全国各地の同胞に写真、資料の提供を呼びかけたほか、直接県内の歴史館にも足を運び資料収集、整理に努めた。
2000年からこうした活動に携わりながら、今回、茨城民族教育歴史資料室の責任者として開設準備にあたってきた李鏞周さんは、活動の過程で「先代が学校を守るためにどれほど多大な労を傾けてきたか、また、その意思を受け継いだ2世、3世たちがその後も学校を支えるためのどれほど力強く活動してきたのかを改めて垣間見ることができた」としながら「この資料室が次世代の子どもたちが先代の思いについて考えるきっかけになれば。また後世に歴史を繋げていくことに利用してほしい」と話した。
年表順に展示された歴史資料室の最後のパネルの隣は、空白のスペースになっている。次世代に未来を築いてほしいというメッセージが込められている。
(周未來)