済州島4.3事件64周年で追悼
2012年04月27日 11:41 主要ニュース 歴史東京でパネルディスカッション
済州島4.3事件64周年を追悼して、パネルディスカッション「済州島4.3事件と朝鮮半島を取り巻く現在」が、23日、東京・荒川区の日暮里サニーホールで行われた。主催したのは同事件を考える会。集いに先立ち、4.3事件の被害者たちに対し哀悼の意を表して約400人の参加者全員で黙祷を捧げた。
集いではまず、主催者側を代表して、曹東鉉さんが「集いを重ねることによって4.3事件の真実が在日同胞はもとより日本の市民に理解されるようになった」と指摘。さらに、李明博政権の成立以降、いわゆるニューライト全国連合など南の保守・右翼団体が国家正統性確立国民協議会などを結成し、4.3特別法はデタラメ、4.3平和公園は親北左派養成所などとひぼう中傷をしながら、7件もの訴訟を起こしている実態に触れた。そうした逆風の中でも、「4.3の精神は暴力に対し民主主義を守る闘争であった」「単独選挙に反対した祖国統一めざす闘争であった」と一貫して主張してきた集いの意義に触れて、「継続は力」だと指摘した。
集いの一部では文京洙・立命館大学教授、鵜飼哲・一橋大学教授、ジャーナリストの桜井泉氏さんらよるパネルディスカッションが行われた。
文教授は、「4.3平和記念公園」の整備や犠牲者の遺骨発掘調査などの予算が相次いで削減されたと指摘し、「4.3事件をどう見るか」についての視点は、依然として南における平和、人権、民主化のバロメーターであると語った。
鵜飼教授は、51年のサンフランシスコ平和条約の締結に至る過程そのものが、日本が朝鮮との過去清算を行わず、米国の極東戦略に基づいて朝鮮半島の分断化を謀ったものだったと述べ、「朝鮮半島の38度線は巨大な不条理」によって生まれたものだと断罪した。そして、ヨーロッパにおけるドイツの分断は、懲罰的な意味があったが、「アジアにおいては、日本ではなく、朝鮮が分断された」と指摘し、「不条理な歴史的条件の下で享受してきた日本の平和や民主主義は全く脆弱そのものであり、いま、また、日本の米軍基地の存在が新たな戦争の危機を招いている」と警鐘を鳴らした。
二部では大阪で活躍する歌手・趙博さんが「百年節」「祖国と女たち」などの歌を披露し、会場の喝采を浴びた。(粉)