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〈東ア共同ワークショップに参加して①〉国籍や民族越え若者が集う/姜守幸

2013年09月24日 12:47 主要ニュース

16年目、北海道で強制連行犠牲者の遺骨発掘

北海道の最高峰旭岳のふもとに位置する上川郡東川町。人口約8,000人の小さな町に今年8月、東アジアの青年を中心とする130余名の有志らが集まった。

今年で16年目を迎える「東アジア共同ワークショップ」に参加する面々だ。1997年に北海道の厳寒地である朱鞠内での朝鮮人強制連行・強制労働犠牲者の遺骨発掘を日・韓・在日・アイヌの若者らで行なったのが始まり。その後、日韓の枠組みを超えて多様な東アジアの若者が集うようになり、01年より名称を現在の「東アジア共同ワークショップ」(以下、WS)へと改め、これまで北海道、大阪、韓国など開催地を変えながら毎年行ってきた。

私は大阪で民族学級の講師をしている時に人の縁でWSを紹介され、00年に初参加しそれ以来、継続してこの活動に携わっている。何と言ってもこのWSの魅力は、歴史を真正面から見つめようとする姿勢と、その作業を国籍・民族の枠組みを超えた多様なメンバーで行うことにある。

ワークショップ参加者たち

ワークショップ参加者たち

在日同胞もこれまで多く参加しているが、一言に在日といっても出身地によってルーツも変われば、朝鮮学校出身者、日本学校出身者、民族学級経験者など、多岐にわたる。韓国からも現役の大学生だけでなく、社会人となり市民団体やいろんな社会的な場で活躍しているメンバーが大勢いる。

さらに今年は、留学先のアメリカやニュージーランド、オーストラリアから参加してきた学生もおり、歴史認識が逆戻りしているこの時代に、この参加者の顔触れはそれだけでも勇気が湧くような集まりだった。

朝鮮大学校からも7人の学生が参加した。WS当初は歴史の学習や討論でも日韓の枠組みに縛られるケースが多々あり、在日の存在を必死にアピールしなければならなかった。そんな中、01年に初めて参加した現役の朝大生の存在は新鮮で非常にインパクトが強かったのを記憶している。朝大生は持ち前の明るさと、その社交性からWSの中でも一躍目立つ存在となり、それは今も受け継がれている。

今回、東川町に集まった青年たちは、強制連行犠牲者の遺骨発掘に取り組んだ。

発掘報告会の様子

発掘報告会の様子

1939年から始まる「朝鮮人内地移送計画」いわゆる強制連行。北海道では1939年から1945の間に約14万人の朝鮮人が動員された。ここ東川町でも旧江卸発電所工事と東川遊水地工事において朝鮮人が従事させられ、その過酷な労働と生活環境から何人もの犠牲者がでたという。

今回のWSの目的はこの工事で亡くなり、その後きちんと埋葬されずに捨てられた朝鮮人犠牲者の遺骨を発掘すること。無念にも自身の思いとは裏腹に異国の地で亡くなり、いま尚、安置されず土の中に埋まっている、その犠牲者(ウリ先祖)と対面すべく、我々ははるか北のこの地に呼び寄せられたのだ。

(つづく)

筆者のプロフィール:城北初級、中大阪初中、大阪朝高卒、大阪市在住の在日朝鮮人3世。39歳。ミレ信用組合に勤めながら、朝鮮学校を守る活動や地域の青商会活動に携わっている。大阪府青商会常任幹事、東成青商会副会長。

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