山口同胞たちの涙
2025年11月15日 08:00 取材ノート
山口県宇部市の長生炭鉱で183人が犠牲になった水没事故(1942年)犠牲者の遺骨が8月25日、初めて発見、収容された。
2人のダイバーは10時、ピーヤに向かって出発。オモニと共に来ていた山口初中の園児、児童の兄妹が「チャルハセヨ!」とエールを送った。
実を言えば、この日遺骨が見つかると思っていなかった。なぜなら今後の安全な潜水調査のためのボンベ設置作業が予定されていたからだ。少し現場を離れ、帰ると何やら浜辺がざわついている。ピーヤから浜辺に遺骨収容の連絡があったようだ。それからは、他の報道陣の人込みを縫って、83年ぶりに遺骨が地上に戻ってくる一部始終を無我夢中で写真や動画に収め、速報も出した。
遺骨と対面した時、遺骨とダイバーに注目が集まる中、筆者の目を引いたのは同胞たちが涙を流し、抱き合う姿だった。祭事をする際には料理の準備に地域の女性同盟が携わってきた。宇部初中(当時)、山口朝鮮歌舞団(当時)が追悼式で歌を歌ったこともあった。山口初中の生徒は潜水調査に思いを馳せ絵を描いた。山口初中を卒業した朝大生たちは地元の歴史を忘れまいとフィールドワークを行った。
予期せず居合わせた歴史的現場で、山口同胞たちの涙にこれまで積み重ねてきた献身と真心を感じた。
(侑)