縮まった母との距離
2025年11月10日 09:00 取材ノート10月10日~13日、朝・日の大学生らが主催する全国巡回展「Moving History Museum~日本と朝鮮、消えない歴史」が東京、愛知、大阪、広島の4会場で開催された。筆者は最終日の広島展を取材し、関係者たちの思いや達成感、笑い話などを聞くことができた。
実行委員の李詩穂さん(留学同東京)は、物心ついた頃から母に在日朝鮮人であることを聞かされて育ったが、朝鮮学校には通わず日本の学校で過ごした。大学で留学同に出会い、自身のルーツを探るようになった。母が通った朝鮮学校や、自分が朝鮮人であることを尋ねた。母は「わざわざ苦労する道を選ばなくても」と煙たがったそうだ。金さんは、その理由を留学同の活動を通して少しわかった気がした。「母が学生だった頃、朝鮮学校の女子生徒が通学路でチマ・チョゴリを切り裂かれる事件など、目に見える差別がはびこった時代を生きたからだろう」(李さん)
そんな中で巡回展が始まり、李さんは愛知展会場で母の友人と出会った。それを、母に伝えると、その友人とともにチマ・チョゴリを着た写真を送ってくれたという。
李さんは「今まで封じていた母の朝鮮人としての一面を見れて胸が熱くなった。何より留学同の活動に無関心だった母との距離が、今回の巡回展で少し縮まったように感じる」とほほ笑んだ。
家族からの励ましは誰にとっても嬉しいことだろう。一人暮らしをする筆者にも「記事を読んだよ」という母からの連絡が来ないかと待ち遠しくなった。
(蘭)
「歴史は決して消えない」/朝・日学生による全国巡回展【動画】
【留学同行事案内】全国巡回展、日本各地4カ所で開催/「Moving History Museum~日本と朝鮮、消えない歴史」