〈インタビュー〉ロシア科学アカデミー朝鮮・モンゴル担当部長
2025年10月03日 09:00 対外・国際“朝ロ関係は多極化秩序の試金石”
ロシア科学アカデミーの東洋学研究所朝鮮・モンゴル担当部長を務めるアレクサンドル・ヴォロンツォフ氏が9月末に来日した。学生時代に金日成綜合大学に留学し、2000~02年に駐朝鮮ロシア大使館で二等書記官を務めた同氏は、ロシアにおける朝鮮研究の第一人者。同氏に、朝ロ関係や多極化世界における朝鮮の役割などについて聞いた。(聞き手・李永徳)
西側の二重基準と主権平等の論理
Q. 朝鮮解放80周年に際してロシア代表団の一員として平壌を訪れたと伺っている。朝ロが共にした記念行事を通じて何を感じたか。
A. 今回、私はロシア国家会議(下院、ドゥーマ)議長が率いる代表団に元外交官のグループとして随行した。平壌で参加した8月14、15日の行事の中で強く印象に残ったのは、金正恩総書記が凱旋門前の慶祝大会で行った演説だった。朝鮮解放における赤軍将兵の功績を称え、ロ朝両国の血で結ばれた友情を強調する言葉を、壇上からわずか数メートルの距離で耳にした瞬間、歴史の重みを肌で感じた。
続く祝賀公演は、音楽、舞踊、空挺降下を融合させた壮大な舞台だった。特にロシア代表団のために用意された追加プログラムでは、祖国をテーマにした楽曲がロシア語で完璧に歌い上げられ、多くの代表団メンバーが涙した。私自身も胸が熱くなり、両国の心と心が通じ合う瞬間を実感した。2万人もの平壌市民が示した熱い歓迎と心からの交流は、理念だけでなく、感情で通じ合う真の友情を映し出していた。
今回、ロシアが最高位レベルの代表団を派遣したこと自体、ロ朝関係の強固さと発展への展望を示す出来事であった。プーチン大統領からの祝賀書簡も両国関係の特別な地位を裏づけていた。
Q. 今日の国際情勢において、朝ロ関係はどのような役割を果たすと考えているか。また、西側からの批判をどう見るか。
米国の相対的優位性が徐々に失われている一方で、アジアを中心に新たな経済・技術の重心が生まれ、多くのグローバル・サウス諸国がより公正な国際秩序と主権平等を求める声を強めている。グローバルサウスは今や「グローバルマジョリティー(世界の多数派)」と呼ばれ、新しい世界の潮流を形づくっている。こうした環境の中で、ロ朝関係の強化は単なる二国間関係を超え、多極化を進める試金石となっている。両国は米国主導の制裁や包囲網に直面しつつも、相互に支え合うことで外圧に揺るがない安全保障上の安定や、今後の発展に向けた自信を得ている。
例えば、昨年10月、朝鮮が韓国のドローンによる主権侵犯行為に直面した時、