民族教育の意義、歴史を共有/交流ツアーでのリレートーク
2025年02月19日 15:50 交流 社会6年ぶりに川崎初級で行われた「かながわの朝鮮学校交流ツアー」(15日)では、リレートークが企画された。そこでは同校の姜珠淑校長と社会福祉法人青丘社の三浦知人理事長が発言した。
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姜珠淑校長(左)と三浦知人理事長(右)がリレートークを行った
姜校長はまず、6年前に行われた川崎初級でのツアーを振り返った。そして、同校の沿革史について解説しながら「1948年にGHQが朝鮮学校閉鎖令を発布した際、川崎では桜本小学校の分校というかたちで民族教育を守った。当時、配属された日本人教師たちは朝鮮語を学んで必死に教えたという記録が残っている」と述べた。
そして、情勢の変化によって厳しい状況が続く現状を語りながら「新校舎を建設する前には、児童数の減少や自治体の補助金カットでいくつもの難題を抱えていた状況だった。民族教育を決して閉ざしてはいけないという思いでこの校舎は建てられた」と強調した。姜校長は、日頃から学校をサポートしている市民たちに謝意を表しながら、市民たちと共に児童たちのために邁進していく決意を述べた。
三浦理事長は、川崎の地域史には軍需産業で発展した背景があると指摘しながら、「その中に在日コリアンたちの密度の濃い歴史があるが、それをなくしていこうという動きが強くなっている」と憂慮。そして、その歴史を地域社会が守る重要性を強調しながら「昨今は、労働力不足による移民流入で多文化共生という言葉が出てきたが、在日コリアンこそがそのパイオニアであり、民族教育を守ってきた闘いは貴重な歴史だ」と意義を強調した。
最後に三浦理事長は、「ヘイトスピーチが蔓延する日本社会で子育てをする朝鮮学校保護者の不安を市民社会が真剣に考えていくべきだ」としながら「多文化共生社会を掲げている日本の行政は朝鮮学校の役割をしっかり認識し、市民たちは当事者意識をもって連帯する動きを起こすことで、地域からの歩みを進めていかなければならない」と述べた。
(晟)