神奈川で補助金計上を求めるシンポジウム/連帯の輪広げて
2013年06月18日 09:51 主要ニュース 民族教育「朝鮮学園への補助金計上を実現するために!6.15シンポジウム」が15日、神奈川朝鮮中高級学校で行われた(主催=神奈川県知事による朝鮮学園に対する補助金の予算不計上に抗議し、撤回を求める県民会議)。同校の児童・生徒や学父母をはじめとする同胞と日本人士ら約170人が集まった。神奈川県の補助金不計上に反対する同胞や日本の市民団体の活動が報告されるとともに、今後の活動提起が行われた。
シンポではまず、同校教育会の皮進会長が神奈川県における補助金獲得の経緯について発言した。
皮会長は、1946年に始まった神奈川での民族教育は、1948年に文科省が通達した学校閉鎖令など日本の弾圧政策の中で数々の困難に直面したが、同胞たちの権利獲得闘争の末、1965年には神奈川朝鮮学園が各種学校として認可され、1977年には補助金が計上されるに至ったと話した。また、外国籍県民との相互理解と人権尊重を掲げた「かながわ国際施策推進指針」、多様な文化と個性を尊重し、差別や偏見を根絶する国際理解教育を行うという理念のもとに1990年に打ち出された「在日外国人にかかわる教育の基本方針」について強調しながら、2013年に黒岩県知事が決定した補助金不計上に対して、今後も積極的に署名活動や要請活動を行っていこうと参加者たちに呼びかけた。
YMCA国際・地域事業担当の高村文子さんは、日本市民らの「朝鮮学校に通う子どもたちを暴力や差別から守りたい」という思いで2003年から始まった「入学おめでとう応援隊」への参加が、朝鮮学校との交流の始まりだったと話した。日本の青年たちもYMCAが推進する朝鮮学校との交流によって、初めて朝鮮学校に対しての認識が芽生えたという。「朝鮮学校の現状に関して知らない人々が多い。これからも学校に足を運び、お互いを知ることで、補助金不計上反対の連帯の輪を広げていきたい」(高村さん)
神奈川県オモニ会連絡会の孔連順会長は、日本市民が主催する行事へのオモニ会の売店運営などでの積極的な参加は、日本市民との交流が深まるだけではなく、子どもたちを守ることにもつながると指摘した。また、活動を展開する過程で、「朝鮮学校を支援し、理解を示してくれている人々が多い」ということを実感したと述べながら、「今後、活動をより一層拡大し、権利獲得の可能性を広げるため、新しい活動にも積極的に取り組んでいきたい」と語った。
日下景子県議は、2月14日~5月30日までに、あらゆる団体が26回、県庁を訪ねて要請活動を行ってきたが、「1度も県知事は会ってくれなかった」と指摘した。「県民の理解を得られない」という理由で県知事が補助金不計上を決定したことに関して、「明らかな人種差別である」と非難しながら、これからも多くの人々と手を取り合って、神奈川県への働きかけを強めていきたいと語った。
西東京朝鮮第2初級学校の李政愛校長は、2004年度から町田市内のすべての市立小学校に防犯ブザーが配布され、同校も2010年度から配布を受けたが、「国際情勢を考えると、市民の理解が得られない」という理由で、市教育委が配布取りやめを決定した経緯について説明。配布取りやめが発表されるや直ちに、市教育委に対して抗議の電話とメールが1,300件以上寄せられ、決定が撤回されたものの、市教育委は現在も正式な謝罪はしていないとしながら、「子どもたちの安全を脅かす日本社会が許せない」と非難した。李校長はこの間、全国から激励のメールや手紙、防犯ブザーや支援金が学校のもとに届けられたことに対して謝意を表しながら、「子どもたちが差別のない環境の下で勉学に励めるよう、日本市民と連帯して日本社会に訴えていきたい」と語った。
最後に、司会を務めた神奈川朝鮮学園を支援する会の佐々木克己事務局長が、今後の活動提起を行った。▼署名活動や要請活動の強化、▼朝鮮学校に対する正しい情報に基づいた世論形成、▼朝鮮学校を支援するための募金活動、▼日本各地の市民団体と提携した全国的な活動展開などを呼びかけた。
県民会議の園部守事務局長は、「今回のシンポジウムで朝鮮の方々や市民団体の方々の活動が報告され、連帯の輪が強まった。神奈川県が先頭に立ち、今後も積極的に補助金計上を求める活動をしていきたい」と語った。
シンポに先立って、授業参観が行われれた。日本人士たちは児童・生徒たちの授業風景を見学した。その後、体育館では児童・生徒らによる公演が行われた。朝鮮舞踊、民族楽器の演奏、歌などが披露された。
(李永徳)