三重同胞奮闘記⑩その名は四日市朝鮮初中級学校♪/金琴純
2024年11月23日 10:34 暮らし・活動四日市初中の校歌を作詞された朴天守先生の訃報が届いた。面識はないが3年前に創立75周年記念誌制作の折、原稿を依頼したご縁がある。
先生は教員3年目の1960年末、当時の朱相雲校長から学校のシンボルになるような歌詞を作るよう依頼された。「祖国の愛の下、四日市初中で学ぶ学生たちが向かうのは母なる祖国という想いで書いた」(四日市初中創立75周年記念誌『추억모이(チュオッモイ)』より)。当時の在日朝鮮人運動の勢いと祖国への思いが如実に表現された歌詞。軽快なラッパの音で始まる校歌を聞くと力が湧いてくる。済州島出身、昨年三重での「ウリ民族フォーラム」に映像出演され、思い出を語ってくださった先生のご冥福をお祈りする。
鈴鹿市の金栄一さんもまた、ハッキョを大切に思う一人だった。昨年末に店じまいした焼肉「東宛」のご主人で、今春旅立たれた。1日に数回転する客足、行くと誰かに会う居心地のいいお店。ゴロっと大きいテール肉の入ったスープやコリコリのガツなど、「東宛」でしか食べられないメニューが魅力だった。閉店間近のある日、女性同盟鈴鹿支部、娘の同級生のオモニたちなどでお店は貸切り、賑やかなおしゃべりと笑い声が響いた。お連れ合いの姜舜恵さんと一緒にみんなから花束をもらい、何とも言えない表情で一緒に撮った写真が記憶に新しい。
今年に入りそんな「東宛」が、鈴鹿支部トンポの新しい「マダン」になっている。現在の鈴鹿支部には集まるハコがない。ある時から青商会交流会、鈴鹿支部食事会などに「東宛」を利用するようになった。まるで支部事務所のようで非常に面白い。
場所がなくても集まる人もいれば、場所があっても集まらない人もいる三重同胞社会の現状。「三重トンポたちのための複合施設をつくる」―。金哲奎・フォーラム実行委員長が掲げた夢が叶う時、そこでのBGMに校歌が流れるといいな。
(「ウリ民族フォーラム2023in三重」と準備過程で活気を取り戻した三重同胞社会。フォーラム後も有志たちの奮闘は続いている。同フォーラム記録係を務めた金琴純さんがかれらの活動をレポートする。不定期掲載)
(朝鮮新報)