公式アカウント

〈美しい思い出汚す醜悪さ〉南の映画「ハナ~奇跡の46日間」

2013年06月10日 11:32 コラム

奇怪な映画である。91年の「世界卓球選手権」で女子統一チームの優勝を描いた南の映画「ハナ~奇跡の46日間」(原題「コリア」)。映画の冒頭には「事実にもとづいたフィクション」という責任逃れの一文があったが、まさしくウソで塗り固められた醜悪な代物だ。

高位(総理)級会談や統一サッカー競技が行われ、北南の和解ムードが高揚していた91年、世界卓球に向け、分断史上初めて誕生した統一チーム「コリア」。そればかりか、強敵中国を倒して優勝という快挙をもたらした。「アリラン」の演奏とともに、統一旗がスルスルと高く掲揚されたあの表彰台の感動的シーンが、20年以上経っても蘇ってくる。平壌もソウルも在日も、民族すべてが狂喜乱舞したその美しい思い出を、無残にも汚したのがこの映画なのだ。

とりわけ在日同胞は、連日、総聯も民団もなく、共同応援団を結成、共に涙にむせびながら「アリラン」と「われらの願い」を歌い、「祖国統一!」を連呼した。双方のオモニたちが共同で漬けた「統一キムチ」を差し入れたり、共同歓迎パーティーを催すなど、同胞が1つになって共に戦い共に感涙に咽んだ。

しかし、映画では北の選手を常に監視する、冷血極まりない北の要員を登場させた。まるで荒唐無稽なハリウッドの三文芝居のように、南の選手は常に思いやりがあって、人間的な「善の人」。北の選手は、常に監視され、自我のないピエロのようで、病気の治療も受けられない「哀れな人」として描かれている。時代錯誤も甚だしい。共に戦った選手たちの尊厳を傷つける無神経な映画というほかない。2012年作だという。歴史に逆行した李明博政権の軽薄な落し物の一つか。(粉)

Facebook にシェア
LINEで送る