軍服姿の特使
2013年05月30日 09:08 春・夏・秋・冬金正恩第1書記の特使として崔竜海・軍総政治局長が訪中した。一触即発の危機をはらんだ情勢に変化の兆しが表れている。朝鮮は日本の内閣危機管理特別担当参与の訪問も受け入れた。来月には米中首脳会談も行われる。
▼時を同じくするハイレベルの意思疎通は独立した動きではなく、国際政治の舞台で連動し、進行しているようだ。朝鮮の人工衛星打ち上げを制裁対象とし、圧力路線で歩調を合わせた国々が、対話の必要性を述べている。軍事的緊張を煽る「ムスダン」騒動の裏でメディアが伝えない転換点が生まれていたということだ。
▼第1書記が特使を派遣した目的と関連して「米・南に対するゆさぶり」、「中国が実施した金融制裁の解除」などと憶測が飛び交った。訪朝した内閣参与に対する歓待も「関係各国の連携分断」をねらったものであるとされた。国際的包囲網によって朝鮮が窮地に陥ったという視点に立つ限り、事態の真相はつかめない。
▼各国には朝鮮と対話すべき理由があり、同時進行するすべての対話において、朝鮮は当事者だ。各国の利害が複雑に絡む外交の舞台でイニシアチブを発揮できる有利な位置にいる。
▼「誰も朝鮮半島で紛争を見たくない」(オバマ大統領)。緊張激化で追い詰められたのは米国であった。第1書記の特使は軍服姿で訪中した。戦争終結と平和構築。朝鮮の主張がテーマとなる対話の局面が準備されているのかもしれない。(永)