〈人・サラム・HUMAN〉岡山初中・習字講師/韓静資さん(77)
2024年05月15日 07:00 人・サラム・HUMAN 民族教育民族書芸は「命」
20年間、大阪府と岡山県内にある朝鮮学校で数学教員を務めた後、広島初中高で17年間にわたり習字講師を務めた。
現在は、岡山初中で初級部以降のすべての児童・生徒に習字の授業を行っており、今年で14年目を迎える。各地にある朝鮮学校で、全校生が習字を習うのは岡山初中だけ。
書の道を歩み始めて30年、教員人生で数えると50年にわたり朝鮮学校の教壇に立ってきた。
一方で、高麗書芸研究会の常任理事も務め、民族書芸を中心に同胞社会での民族文化の保存、普及活動に尽力。「ラクソフェ(落書き会)」(兵庫)や「ハナ書芸教室」(岡山)など、一般同胞を対象とした書芸教室でも講師を務める。
2022年1月12日付では「作品展をやりたい」と夢を語っていた。そして、今年の4月に喜寿を記念した個展を開催し、3年越しに夢を叶えた。
「知ること、続けることが力になる」と言う。長きにわたり、朝鮮学校の子どもたちに授業を行ってきた韓さんのモットーは、「とにかく褒める」こと。「子どもたちは日々成長している。習字で例えると、児童がある時これまでになく上手に字を書き上げることがある。そういう時は大げさに褒める。子どもたちにとって、褒められることが何よりも力になる」と話す。
そんな韓さんにとって、朝鮮学校は「生きがいの場所、生きる力を与えてくれる場所」で、民族書芸は「命」みたいなものという。
「私たちの言葉で表現される民族書芸は、同胞たちの民族心を動かす。民族書芸には、そのような力がある」とし、「民族書芸を岡山初中で教える後継者を育てるまでは、講師をしっかり続けていく」と笑顔で話した。
(忠)