〈3.31全国集会&パレード〉鎌田慧さん、デヴィ夫人ら集会であいさつ(要旨)
2013年04月01日 16:26 主要ニュースルポライターの鎌田慧さん
朝鮮学校の「無償化」排除は明らかな民族差別。これは、朝鮮学校の問題だけでなく、日本の民主主義が問われる、日本社会全体の問題だ。確かに政府が「無償化」排除の理由とする「拉致問題」などには異論がある人もいるはず。しかし、自分たちの国が朝鮮学校の子どもたちを差別することに私は加担したくない。1910年、日本は朝鮮を植民地化したという悲しい歴史がある。その歴史から学び、同じ過ちを繰り返してはならない。朝鮮から強制的に連れてこられた人々の子孫たちは今、日本で一生懸命働きながら暮らしている。そんな彼らの学ぶ機会を奪う権利は日本にはない。在日朝鮮人と日本人と共に手をつなぎ、明るい未来を作っていきたい。
千葉大学の三宅晶子教授
「高校無償化」制度からの朝鮮学校排除を、①子どもたちの教育を受ける権利を政治、外交上の理由、国民感情を理由に差別してはならないこと、②政治を理由とした差別が国によって公的に、教育の場で行われるという反教育的行為であり、国民に対し、差別をしてもよいと教えるプロパガンダを実行していること、③朝鮮学校に対する「無償化」排除の根底にある日本人の加害の記憶を抑圧し、責任を回避しようとする歴史認識の問題―3つの観点から見る必要がある。人間の尊厳は不可侵である。国籍を超えた人間としての連帯が、戦争と冷戦のトラウマに閉じ込められた東アジアの講和と相互理解、平和への希望の道が開かれると信じている。
デヴィ・スカルノ夫人
安倍政権の在日朝鮮人に対する弾圧、排外主義に対し、疑問と義憤の念で溢れている。また、すべての子どもたちに与えられているはずの教育の平等的権利が侵害されていることは、許しがたい差別である。「無償化」制度が不適用のまま3度目の卒業式を迎えた生徒、保護者たちの気持ちを考えると胸が痛む。朝鮮学校の生徒たちは卒業後、スポーツ、マスコミ、諸企業など各界で活躍するなど、結果的に日本社会に貢献しており、きちんと納税義務も果たしている。したがって在日朝鮮人に、「無償化」が適用されるのは当然のこと。政治的理由で教育権をはく奪し、何の罪もない子どもたちを傷つけるなど、威厳ある国家がすることではなく、恥ずべき行為だ。
映画「ウリハッキョ」の金明俊監督(「モンダンヨンピル」執行委員長)
一触即発の戦争の危機が朝鮮半島に漂う今、朝鮮学校に対する日本政府と極右思考の知事たち、そしてファッショ的右翼団体の無差別的な弾圧が、幼い生徒たちに未曽有の暴力的事態を突きつけている。人間として平等な権利と尊厳を認めてくれないと立ちあがった子どもたちを裁判の原告席に座らせたことは、世界の教育の歴史の恥辱として記録される事件となるだろう。同胞の子どもたちの純粋な瞳が痛めつけられることに怒った韓国の市民が、海を越え立ちあがった。これ以上、半世紀に及ぶ「無関心」と「分裂行為」が続くこと、そして生徒たちが受けている差別を許しはしない。日本の「良心」と手を結び、不当な弾圧を跳ね返していきたい。
(取材班)