科学技術に熱い視線/経済建設のための鍵
2013年03月21日 14:20 主要ニュース 共和国きっかけは「二つの成功」
朝鮮では今、科学技術分野に人々の熱い視線が注がれている。きっかけとなったのは、人工衛星の打ち上げ(昨年12月12日)と核実験(2月12日)の成功だ。今年はじめ、19年ぶりに発表された「新年の辞」では、「宇宙を征服した精神と気迫で経済強国建設の転換的局面を開いていこう!」というスローガンが掲げられたが、これに沿って経済建設の鍵となる科学技術をよりいっそう発展させていこうという動きが、各方面でますます活発になっている。
朝鮮の変わらぬ立場、「平和的環境で経済建設」
昨年、朝鮮は自らの技術によって作り上げた人工衛星「光明星3」号2号機を、国産ロケットで打ち上げることに成功した。さらには、敵対国の圧殺策動に対する自衛的措置として行った3回目の核実験も成功させた。
ハイテクノロジーを用いた宇宙工学と核技術分野における「成功」は、米国によって約60年もの間科せられてきた不当な経済制裁と軍事的威嚇行為に屈することなく、国力を養ってきた朝鮮の自主路線の勝利を意味する出来事であった。
人々はこの明るいニュースに沸き上がり、大きな力と自信を得た。
一方、米国は衛星打ち上げと核実験を機に朝鮮に対して不当な制裁を科し、さらには侵略戦争シナリオに基づく米・南合同軍事演習を強行。これに対して朝鮮側も停戦協定の白紙化を宣言するなど、朝鮮半島をめぐる情勢は悪化の一途をたどった。
しかしそのような中、平壌では18日、全国軽工業大会が行われた。人々が日々消費する生活用品、食料品や衣類などを生産する軽工業部門に携わる労働者、科学者、技術者などが集まって開かれた同大会では、軽工業をより一層発展させるうえでの指針と課題が明示された。生産工程などに世界的レベルの科学技術を導入することも指摘された。
大会に参席し演説を行った金正恩第1書記は冒頭で、朝鮮半島で新たな戦争を防ぎ、平和的な環境の下で経済建設を進め、人民生活の問題を一日も早く解決しようというのが党の確固不動たる立場であると強調した。
産学連携、次世代育成も活発
衛星打ち上げと核実験の成功は、朝鮮の科学技術重視策がもたらした結果であるといえる。
朝鮮労働党は科学技術重視策を強盛国家建設における戦略的柱の一つとしてきた。党の指導の下、情報技術(IT)、生物工学をはじめとする核心技術と、宇宙工学などの先端科学技術の分野で、これまでに数多くの成果が収められた。
今後は、軽工業や農業といった人民生活を向上させるうえで重要な位置を占める産業に先端科学技術を応用していくこと、いわば「科学技術と生産を密着させる」(労働新聞1月4日付社説)ことが、課題となる。
科学技術を重視する朝鮮の姿勢は、さまざまな部分で見受けられる。
例えば、大学や研究機関と生産単位との間で研究・協力が活発に行われていることがあげられる。いわゆる産学連携である。
2月20~22日にかけて科学技術祝典を開催した金策工業総合大学では、石炭、電力、金属工業をはじめとする「人民経済先行部門」と、基礎工業部門のさまざまな単位との協力を強化し、多くの問題を解決しているという。祝典では160余本の科学技術論文が発表されたが、金属加工、ロボット、人工知能(AI)、中央演算処理装置(CPU)とネットワークなど、興味深い研究内容が多く見られた。
また、4~7日まで開催された平壌市科学技術祝典には、平壌機械大などの大学と、万景台愛国アルミサッシ工場などの生産単位から数百人が参加し、技術発表会と新技術交流が行われた。
一方、学校教育においても、科学技術に長けた人材を育成するという側面が重視されてきた。
小・中学校でコンピューターの基礎的な使用法から応用法までを教えるのはもちろんのこと、さらに専門的に学びたい場合には、学生少年宮殿(朝鮮の子どもたちのための課外教育機関)や居住区域で実施される連続講義を受けることができるよう措置が講じられている。後者まで履修すれば、自身で簡単な応用プログラムを作成することができるようになるという。
このような教育を受けたいわゆる「コンピューター世代」が今、各分野に進出しており、国の全般的な科学技術水準を引き上げるうえで重要な役割を果たしている。
2月20~27日、核実験の成功に関わった「功労者」たちが平壌に招かれて歓待を受け、そのようすは国内メディアでも大々的に取り上げられたが、人々は「功労者」の一行の中に若い科学者、技術者たちが予想以上に多かったことに驚いていたという。
(金里映)