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京都で14年続く朝・日児童らの交流イベント

2013年03月12日 14:31 主要ニュース

共に学び、共に生きることの大切さ

イベント終盤、朝・日友好を願い、約600人が手をつないだ。

京都市内の日本の小学校21校と朝鮮初級学校2校(京都朝鮮初級学校、京都朝鮮第2初級学校)の児童たちによる交流イベント「ユー・アイ・スクエア」(あなたと私の広場)が2月23日、京都市の佛教大学で行われ、朝・日の児童と教員、保護者、佛教大学の学生スタッフら約600人が参加した。14回目を迎えた同イベントは、朝・日教員の10年間にわたる構想の末、2000年からスタートした。02年からは佛教大学の学生がスタッフとして関わっている。子どもたちが国際感覚を養い、国際交流の大切さを体得する貴重な空間となっている。

「また会おうね」

佛教大学の学生が指導し、朝鮮学校児童が和太鼓を、日本学校児童が朝鮮の民族楽器を演奏するブースも設置された。

この日のイベントでは、学生たちによる演劇や朝鮮学校児童の民族楽器演奏、5つのブース(オモニブース、佛カラーブース、シンボルブース、異文化ブース、ダンスブース)などで盛り上がった。

異文化ブースで子どもたちは、チャンゴ、プク、クェングァリ、チンなど朝鮮の民族楽器と和太鼓を習得した。京都初級から借りたというチョゴリをまとった佛教大学の学生が、日本学校の子どもたちに朝鮮の民族楽器を、朝鮮学校の子どもたちには和太鼓の扱い方を教えていた。学生のひとりは、イベントまでに、京都初級に何度も通い、教員たちの指導を受けながら技術を体得したと話した。

京都初級、京都第2初級のオモニ会は、昼食を準備した。調理場では日本のPTAの保護者らが一緒に準備していた。献立は、チヂム、トックッ、キムチで、参加者全員に配られた。京都第2初級オモニ会の黄正順会長(43)は、「日本の小学校に通う子どもにもキムチを味わってもらった。『おかわりないの?』と話してくる子どもが多かった」と微笑んだ。

京都市立鷹峯小学校からは全体の4割の児童が参加した。朝鮮学校とは、学芸会に賛助出演してもらうほど、交流が盛んだという。山田清隆校長(56)は、日朝の子どもたちが互いに「また会おうね」と約束している姿に、異文化交流の意義を感じたと話した。

「楽しかった」と満面に笑顔を浮かべていた京都市立楽只小学校の松井灯里さん(小6)は、今回が4回目の参加。「今日新たにできた朝鮮の友だちと、これからも連絡し合いたい」と語った。松井さんが一番仲良くしていたのが京都第2初級の千莉玉さん(初4)で、千さんとツーショットの記念写真におさまった。

民族器楽部の一員としてイベントで演奏を披露した金陽喜さん(京都初級、初6)。同じグループで共に行動した日本の友人と連絡先を交換した。「連絡を取り合って、互いの家を行き来したい。遊園地にも一緒に遊びに行きたい」と語った。

普遍的な関係を

チヂムなどの朝鮮料理を手渡す朝鮮学校のオモニたち

京都で朝・日の学校同士が交流することがまだ盛んではなかった頃、朝鮮学校と日本学校の児童がしょっちゅうケンカをしていたという。児童らが対立する姿に頭を抱えていた朝・日の教員たちが1980年代に入り、「これからは共に生きる社会を構築しよう」と合意し、児童同士の交流を目指した。

90年前後からの10年間、粛々と準備を進め、00年に「第1回ユー・アイ・スクエア」を日本の小学校で実現させた。イベント名は、日本の小学校の教員がつけたという。当時、参加人数が多かったため、小学校では人数が収まりきらなかった。そこで朝・日の教員たちは、より大きな会場を確保するため市役所を訪ね、イベントの意義を伝え、協力を仰いだ。しかし、「時期尚早」という答えが返ってきた。

「佛教大学に場所の提供を頼みに行こう」。日本の学校の先生がこう切り出したところ、「それはいいこと」だという反応が大学側から返ってきた。その後、02年からイベントは佛教大学で行われることになり、学生らがスタッフとして関わった。数人の学生は、同年に訪朝したという。当初はオブザーバーのような形でイベント運営に関わったが、今では大学の授業の一環に組み込まれ、イベント運営の中心に立っている。

02年に学生たちと共に訪朝した佛教大学教員の後藤直さん(55)は、佛教大学での開催を実現させたひとりだ。後藤さんは、日朝、日中の関係などにおいて情勢が緊張している今だからこそ、国籍や立場の違う子ども同士の情勢に左右されない普遍的な関係を築くことが重要だと考えている。佛教大学の学生たちもこの点をしっかりと理解していると語った。

学生スタッフの代表を務めた杉谷明子さん(21、佛教大学教育学部3年)は、「ユー・アイ・スクエア」のおかげで、朝鮮学校に通う子どもたちを「朝鮮学校の児童」というより「一人の児童」として偏見なく見つめることができているという。触れあうことで、「普通のかわいい子ども」であることを知ったと述べながら、「肌で感じるこの感覚を、大学卒業後に教員として生かしたい」と話した。

イベント会場には、朝鮮学校教員時代から23年間、イベントの構想、運営に携わってきた呉成元さん(66)の姿があった。呉さんは、しみじみ振り返った。「日本の小学校の先生たちとの交流が児童同士の交流となって広がり、それを自然に見てきた日本の大学生が教員として巣立った。『ユー・アイ・スクエア』を経験した人たちが、いろんなところで、互いに助け合い、共に生きている」。

(李東浩)

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