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〈トンポの暮らしを支える/こちら同胞法律・生活センターです! 39〉16歳を迎える子の「特別永住者証明書」交付申請

2023年10月13日 12:48 寄稿

Q1来年2月に16歳になる高1の子のいる在日3世です。

子ども宛てに出入国在留管理庁から、「あなたがお持ちの『外国人登録証明書』は『特別永住者証明書』とみなされていますが、その有効期間の満了日は16歳の誕生日となっていますので、『特別永住者証明書』の交付手続きを行ってください」と書かれたハガキが届きました。

そこでこどもたちの出生時に交付された証明書を出してみると、高1の子のものは手帳タイプの「外国人登録証明書」となっており、2015年生まれの末っ子のものはカードタイプで「特別永住者証明書」でした。外国人登録証明書は10年ほど前になくなったと記憶していますが、改めて子どもたちの証明書について教えてください。

A1 おっしゃる通り、1279日に改定入管法と改定入管特例法が施行され、外国人登録法は廃止されました。

新制度施行にともない、それまでの「外国人登録証明書」にかわって、特別永住者は順次「特別永住者証明書」に更新することとなったのですが、今回のお子さんのように、1279日の時点で16歳未満の特別永住者に関しては、16歳の誕生日の6ヵ月前から誕生日当日までが更新期限とされ、それまでは出生時に交付された「外国人登録証明書」を「特別永住者証明書」とみなすということになりました。

1のお子さんの手帳タイプの外国人登録証明書は、1278日までに出生した子に交付されていたもので、それには次回更新申請期間の記載はありませんが、16歳の誕生日までは特別永住者証明書としてみなされる、ということになります。なお、12年の外国人登録法廃止後に出生した15年生まれの末っ子さんには、上のお子さんとは違い、最初からカード式の「特別永住者証明書」が交付されたということになります。

Q2そしてこのたび、16歳を迎えるにあたって、今手元にある特別永住者証明書とみなされている外国人登録書を更新しろということですね。いつまでに、誰が役所に行けばよいのでしょうか?

A2 それについては、2012年の新制度施行時に溯って順を追って説明します。

今回届いたハガキに記載されている通り、新制度施行時、出生時に交付された特別永住者証明書の有効期間の満了日は「16歳の誕生日」とされたのですが、誕生日の前日まで更新申請を行うのは「申請代理義務者」である16歳未満のこどもの同居するアボジ・オモニ、有効期間の最終日である16歳の誕生日当日に申請義務があるのは16歳となった本人、ということにされてしまったのです。
このことで重大な問題が発生しました。特別永住者証明書の更新手続きを怠った場合、それまでの外国人登録証明書における切り替え手続き遅延時同様、「1年以下の懲役又は20万円以下の罰金」という刑事罰が設けられたのですが、それはすなわち、アボジ・オモニが多忙で更新手続きに行けそうもなく、本人が誕生日に自分で更新手続きに行く予定をしながらも、突発的な発熱などで行かれなくなった、大事な試合が誕生日の日に振り替えられた・・・などのやむを得ない事情が生じて更新手続きに行けなかった場合、16歳の子ども本人に刑事罰が適用されてしまう恐れが生じたということです。本人が申請できるチャンスは16歳の誕生日1日限りであるにも拘らず、です。このことは国連・子どもの権利条約や日本の国内法・こども基本法で理念のひとつとして掲げられている「子どもの最善の利益」尊重の観点からも到底看過できない問題であり、新制度施行直後から在日本朝鮮人人権協会が中心となり改善を求めてきました。

この問題に対し、法務省入国管理局は18年になってようやく、見直しに向けた検討をするとの公式見解を表明しました。それから5年たった今年6月、入管特例法が改定され、16歳時の更新期限については、16歳の誕生日当日ではなく誕生日の「前日」までとすることとなりました。その誕生日前日まで申請義務があるのは申請代理義務者である同居するアボジやオモニなどですので、16歳の子には「特別永住者証明書」の更新遅延による刑事罰が適用される余地がなくなることとなったのです。なお、この改定の施行日は今年111日とするという政令が9月に閣議決定されました。新制度施行から実に11年にわたった人権協会などのたび重なる是正措置要請が実を結んだことになります。

さて、「いつまでに誰が更新申請に行けばよいのか」への答えですが、A1で述べた通り、今お手元にある16歳以下のお子さんのみなしを含む特別永住者証明書の更新・交付手続期限は16歳の誕生日までとなったままですので、その期限自体は16歳の誕生日当日までということに変わりありません。しかしこうした場合のために経過措置規定が設けられており、誕生日を迎え16歳になった本人を「16歳に満たないもの」とみなすことによって、誕生日当日も本人ではなく申請代理義務者である同居しているアボジ・オモニなどが役所に行けばよいとされました。

したがってご相談のケースでは、お子さんの来年2月の16歳の誕生日までに親である相談者さんが役所に赴いて交付申請を行えばよい、ということになります。仮に、相談者さんが病気や突発的な事案の発生によって誕生日当日までに役所に行けなかったとしても、お子さんに刑事罰が科せられることはありません。とはいえ、申請代理義務者である相談者さんがお子さんの交付申請を怠ると5万円以下の過料を科される恐れもありますので、お子さんの誕生日前までに余裕をもって役所へ交付申請に行く段取りをすることをおすすめします。

(宋恵淑、同胞法律・生活センター事務局)

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