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〈そこが知りたいQ&A〉制裁決議、朝鮮の対応は?

2013年02月06日 13:15 主要ニュース 朝鮮半島

朝米対決の総決算に照準合わす

朝鮮は「光明星3」号2号機発射に対する国連安保理の制裁決議を米国の敵視政策が頂点に達したものと判断、非核化会談の終焉を宣言し、核抑止力強化を含む物理的対応措置を実施することになると表明した。朝鮮の強硬姿勢の背景と今後の情勢展望をQ&Aで見る。

‐過去にも「6者会談の終焉」が表明されてことがあったが、非核化会談それ自体を拒絶したのは初めてだ。

2006年と2009年、国連の制裁決議が朝鮮の核実験を引き起こしたが、今回は過去の対立と様相が異なる。朝米の対立が非核化対話の再開を促す一時的緊張で終わらない可能性がある。朝鮮はすでに「朝鮮半島非核化は終わりを告げた」と宣言している。

安保・外交部門の幹部協議会

金正恩第1書記が安保・外交部門の幹部協議会を指導した。(朝鮮中央通信)

1月26日、金正恩第1書記が安保・外交部門の幹部協議会を指導した。1週間後には党中央軍事委員会拡大会議を指導し「重要な結論」を述べたという。一連の会議の模様が映像とともに内外に公開されたのは、前例がないことだ。

朝鮮の指導部は、昨年の時点で約20年間にわたる朝米会談の歴史を総括し、米国の敵視政策放棄がなければ自国の核保有は長期化するとの立場をホワイトハウスに直接伝えていた。今回、それを実行に移したといえる。停戦協定締結(1953年7月27日)後も続く朝米対立は、冷戦終結後に核をめぐる攻防戦として展開されてきたが「非核化終焉」宣言によって、軍事対立と核外交を並行させる米国の二方面作戦は転換を余儀なくされている。

‐今回、朝鮮は「国家と民族の自主権を守るための全面対決戦」(国防委員会声明)に突入すると表明している。

朝鮮が制裁決議採択以降の局面を「全面対決戦」と命名したのには、それなりの理由があるようだ。国内では、今日の経済復興に向けた人民の努力も「対決戦」の一環であると強調されている。指導部は、いまの情勢を1950年代から続く対米戦争の最終局面と位置付けているように見える。幹部らの会議を公開し、「対決戦」に臨む第1書記の決意を人民に伝えた以上、今後の対応であやふやな判断や中途半端な行動をとることはないだろう。米国の敵視政策が撤回されるまで朝鮮の攻勢は続くと思われる。

‐米国の敵視政策には「言葉でなく力で対抗しなければならない」(外務省声明)との主張も繰り返している。

主権国家の自主的権利である人工衛星打ち上げを国連で制裁対象とした米国の手法は、1950年6月25日に始まった戦争で朝鮮を「侵略者」と規定する安保理決議をねつ造した時と同じだ。

冷戦終結後、「唯一の超大国」を自称する米国は一層横暴になり、国連はその「力の論理」に追随する機構に転落してしまった。イラクへの武力侵攻に「合法性」を与え、米国によって武装解除されたリビアで内戦が起きると、これに対する軍事介入を後押しした。

米国の帝国主義的本性は変わっていない。今月4日からも朝鮮東海で米・南の合同海上訓練を行った。巡航ミサイル「トマホーク」を発射できる原子力潜水艦などを投入し、軍事的威嚇を強めた。朝鮮が「物理的対応措置」をとらざるを得ない状況をつくっているのは米国だ。

‐今回の決議には中国も賛成した。

第1書記が指導した協議会では「問題の公正な解決のために努力したのは事実だが、関係国の努力にも限界があるということが明確になった」と結論付けている。

今回、中国は米国の不当な主張を受け入れ、朝鮮に対する自主権侵害を黙認した。朝鮮国内の世論は厳しい。労働新聞には隣国の「政策的誤判」を批判する論調も現れている。

中国の仲裁努力に「限界」が認められた以上、朝鮮は自分たちの力で自主権を守るという姿勢をより鮮明に打ち出していくだろう。朝鮮が決断した「全面対決戦」は、ある意味では米国の横暴を許している現在の国際秩序、不正と不公平がはびこる世界の現実に対する徹底抗戦の様相も呈している。

‐今後、「物理的対応措置」に追加制裁が科せられると緊張がエスカレートしそうだ。

朝米対決の様々な局面で、米国が制裁を強行することで事態が収拾されたことは一度もない。制裁は問題解決を先送りするだけだ。米国は、ある時点で必ず二者択一を迫られる。「戦争」あるいは「対話」という究極の選択だ。朝鮮半島が停戦体制にあることを忘れてはならない。平和協定が締結されない現状では、朝鮮と米国はいまだ交戦状態に置かれている。

「全面対決戦」の結末は予断できない。停戦体制下での緊張激化が偶発的な武装衝突を引き起さないという保証ははない。平和会談の開催だけが戦争防止の確実な方法だ。朝鮮は非核化のための会談はないとしているが、外務省声明では「朝鮮半島を含む地域の平和と安全を確保するための対話と交渉」は可能だとの立場を示している。

(金志永)

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