地産地消
2021年10月21日 13:38 取材ノート 論説・コラム10月初旬の福井出張の際、福井市内で同胞が営むそば屋にうかがった。店のこだわりは「地産地消」、使用している食材のほとんどが県産だという。福井は日本有数のそばの実収穫量を誇り、「越前おろしそば」は県の名物グルメ。店主の言葉の端々から、強い地元愛を感じた。
そんな福井で10日、総聯福井・中央支部が再建集会が行われた。約16年ぶりの再スタートを担うのは5人の非専任支部委員たち。全員が北陸初中、愛知中高出身だ。集会の場で新支部委員長は中央支部をあたたかい同胞愛が行き交うトンネにし、生まれ育った福井同胞社会を盛り上げていきたいと熱く語った。
近年、少子化・過疎化の波は同胞社会にも押し寄せている。福井でも年々、同胞数が減少し、その数は全盛期の約半分に。2016年からは北陸初中が休校状態になった。苦境の中でも支部を再建できたのは、総聯本部常任や支部委員をはじめとした地域同胞たちの尽力があったからにほかならない。福井同胞らの成果は、同じ状況下にある地域同胞社会にも希望と力を与えてくれるだろう。
「自分の地域は自分たちで守る」―取材に伺った先々で同胞らが一様に口にする言葉だ。地産地消のメリットは、地域経済の活性化、地域の伝統的文化の維持と継承。在日朝鮮人運動と重なる部分が少なくない。地元愛と同胞愛をかけ合わせればより大きな力が生まれる。そばのように細くとも末長く、同胞社会の伝統を守っていかなければ。(根)