〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 36〉魯迅文学の真髄と可能性/魯迅②
2021年09月12日 08:00 寄稿
中野重治は、魯迅について書いた「ある側面」(1956)という文章で、「故郷」の末尾の「希望」「道」について、「明るい言葉として、前途に光明を認めて歩きだすものの合言葉として引用している」例が多いと指摘している。おそらく日本の中学校の教室でも、そのように教えられている傾向は多いのではないか。徐京植氏はまたこう指摘する。「だが、それは、読む者に希望を与えようとする言葉ではない。中野は、『ここに、希望というにはあまりにも深い暗さと、暗さそのものによって必然の力で羽ばたいてくる実戦的希望との生きた交錯』を見るという」。