〈東日本大震災から10年〉被災地への思い、今も/朴昭暎さん、金嬉仙さん、金秀一さん
2021年03月13日 08:30 主要ニュース「やり続ける」ことの大切さ
東日本大震災で被災した同胞たちへ送る応援ソング「언제 어디서나(いつもそばに)」。震災当時、「とにかく何かしないと」という共通の思いが作り上げたこの曲は、今日まで被災同胞はもちろん多くの同胞の胸を打ち、共感を呼んでいる。
曲を作ったのは、金嬉仙さん(36)、朴昭暎さん(36)。誰もが歌えるシンプルな旋律と歌詞にこだわって制作したという。間奏では「祖国も感じられるよう」、金秀一さん(36)がテピリ演奏を手掛けた。
朝鮮大学校教育学部音楽科39期の同級生である3人は震災発生から1週間後の2011年3月18日、東京都渋谷区のスタジオでこの曲を録音し、同27日の東北初中卒業式に合わせて完成させた。
「早くこの歌を届けて被災同胞たちを元気づけたかった」と当時を振り返る朴昭暎さん。録音機材も揃わないなかボイスレコーダーで録音し、徹夜で作業を進めたという。
完成した曲「언제 어디서나(いつもそばに)」は27日に行われた東北初中の卒業式で初公開され、その後もSNSで紹介されるなどして広く認知された。
震災翌年となる2012年には、応援ソング第2弾として「잡은 손(つないだ手)」を制作。そのほかにも「ウリ民族フォーラム2012 in 宮城」への出演やチャリティ公演など、今日まで被災地を応援する活動をたゆまず行ってきた。
そんな3人には、被災同胞たちと繋がることで感じた気づきがあったという。
「『ありがとう』と言われるたび、被害が大きいなかでも協力しあって必死に生きている同胞たちの強さを感じた」と金嬉仙さん。金秀一さんも「『대지는 흔들려도 웃으며 가자(大地は揺れても笑いながら行こう)』のスローガンを掲げ、言葉の通り笑って生きる宮城の同胞たちの姿に、むしろ自身らが大きな勇気と力をもらえた」と強調する。
「現地に直接赴いて被災同胞たちと触れ合ってみて、ずっと行動し続けることの大切さを感じた。行動しないと気持ちは伝わらない。ちっぽけなことだけど、歌を通じて少しでも被災地に元気を与えられてよかったと思う」と、朴昭暎さんは力を込めた。
これからも、ともに歩む
震災から10年を迎えた今、金嬉仙さん、朴昭暎さん、金秀一さんは「一度きりではなく、いつまでも被災地と寄り添うことが大切」だと口をそろえる。