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【1報】〈九州無償化裁判〉「最後の砦」が役割放棄/控訴審、国の差別に加担した不当判決

2020年10月31日 14:53 主要ニュース 民族教育

朝鮮学校を高校無償化制度から除外するのは違法だとして、九州中高の生徒、卒業生ら68人が2013年12月19日に起こした国家賠償請求訴訟(九州無償化裁判)の控訴審判決で、福岡高裁(矢尾渉裁判長)は30日、1審の福岡地裁小倉支部判決を支持し、原告側の請求を棄却した。

九州無償化裁判の控訴審判決が行われた

各地5地域で起こされた同種訴訟の最後の高裁判決となったこの日、高裁前には九州中高の生徒や保護者たちのほか、広島、大阪、愛知、東京、京都、兵庫、山口から同胞や日本の支援者など多くの人が集まり、39席の傍聴席を求めて210人以上が列をなした。

開廷後、裁判長は「本件控訴をいずれも棄却する」と言い渡した。判決では、朝鮮高校を無償化の対象外とした文科大臣の判断は「裁量の範囲を逸脱、濫用しておらず」、また朝鮮学校の無償化適用の根拠となる規定ハ削除の違法性については「判断する必要がない」とした。

裁判所の前で「不当判決」を知らせる旗だしがされると、参加者たちが抱いた希望はすぐに怒りと悲しみに変わった。まもなくして、国の違法性を問うことなく忖度した司法に対する抗議の怒号が次々に飛び交った。

「不当判決、許さない!」「朝鮮学校に通う子どもたちの権利を守れ!」シュプレヒコールを叫ぶ朝高生たちの目にも涙があふれ、参加者たちも声を震わせながら憤りをあらわにした。

判決後、原告側弁護団による記者会見が行われた。

会見では、日本各地や南朝鮮から送られてきた激励の映像が流れた後、弁護団報告があった。

後藤富和弁護団長は福岡高裁の判断について「極めて不当である」と語気を強めながら「この判決で負けたのは原告ではなく裁判所だ。人権保障の最後の砦である裁判所が、子どもたちの権利やかれらに対する差別について一言も言及をせず、政府による差別に加担した。こんな幼稚な国が恥ずかしくてならない」と辛らつに非難した。

控訴審判決では、本件訴訟における主な争点として①朝鮮学校が規程13条に不適合であると理由で、国が無償化の対象外としたことは支給法違反となるか②朝鮮高校の無償化の根拠となる規定ハを削除し、不指定処分をしたことは支給法違反となるか―、以上の2点をあげた。

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