〈在日無年金障害者―零れ落ちる声を拾って2〉これは歴史の問題、尊厳の問題/李幸宏さん
2020年10月12日 12:15 主要ニュース 権利在日外国人の無年金問題を解決するため、長きにわたり闘いつづけてきた李幸宏さん(60)。「年金制度の国籍条項を完全撤廃させる全国連絡会」の代表だ。新型コロナウイルスの感染が広がる東京で、スカイプを通じて話を聞かせてくれた。
障害者として、在日として
1960年4月16日、1世の祖父母が働いていた福岡県・筑豊の炭鉱の中で生まれたという李幸宏さんは、2歳のときにポリオ(Acute poliomyelitis、急性灰白髄炎)にかかった。かつては小児期に多発したことから小児麻痺と呼ばれていたポリオは、ポリオウイルスの中枢神経感染による四肢の急性弛緩性麻痺が典型的な症状となる。40年代頃から日本各地で流行し、60年には5千人以上が罹患した。日本政府は61年に経口生ポリオワクチン(OPV)を緊急輸入し、63年からは罹患者に対し国産OPVの2回投与による定期接種が行われて現在に至っている。「私もワクチンを受ける予定だったんですが、ほんの少し、間に合わなかったんです」(李さん)。以降、李さんは車いすで生活している。