〈取材ノート〉歴史修正主義者の圧勝
2020年07月17日 13:42 コラム7月5日に投開票された東京都知事選。現職の小池百合子知事が350万票以上を得て圧勝したほか、在日朝鮮人差別をけん引してきた桜井誠氏が前回(16年)を6万票以上上回る約17万8千票を獲得した。都内に住む一マイノリティとして衝撃を受けた。
NHKの都民1万人アンケートが興味深かった。都民が小池氏に対し、都知事の素質として「持ち合わせていない」という答えで最多が「弱者への共感」(62%)。
都知事選候補討論会(6月27日)で、「罰則付きの『ヘイトスピーチ禁止条例』の制定を目指す?」との質問に「NO」を突き付けたのも小池氏だった。
討論会では、関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典に小池氏が17年から追悼文送付を取りやめたこと、今年の追悼式典の公園占有不許可問題についても取り上げられた。歴史認識を問う質問に小池氏は、「大きな災害で犠牲になられた方々、それに続いて『さまざまな』事情で犠牲になられた方々」と言い放った。大震災における朝鮮人虐殺は民族差別を背景にした虐殺だ。虐殺と自然災害を同一視する小池氏のこのような歴史認識は、朝鮮人虐殺を否定したい歴史修正主義者をさらに勢い付けさせるものにほかならない。
追悼式典許可を求めるネット署名は3万人を超えた。虐殺の事実を見つめ、二度と繰り返さぬよう、市民一人ひとりの行動が問われている。(宥)