〈取材ノート〉「#Blacklivesmatter」
2020年06月11日 15:08 コラム5月下旬、米ミネソタ州で白人警察官が無抵抗の黒人男性の首を押さえつけ、窒息死させるという事件が起きた。現場のようすを記録した映像がSNSで拡散されると、「#Blacklivesmatter(黒人の命は大切だ)」のハッシュタグとともに、米国全土では人種差別反対を訴える抗議運動が広がっている。
全米各地のデモ隊は、警察官に押さえつけられた黒人男性が発し続けた「I can’t breathe (息ができない)」という言葉をスローガンとして掲げた。6月2日には全米の音楽業界が、通常業務を一斉停止するストライキ「ブラックアウト・チューズデー」を行った。これまで米国では、警察官の過剰な暴力によって黒人が不当に殺される事件が何度も発生しており、そのたびにデモをはじめとする抗議運動が行われてきた。
他国に対しては人一倍人権問題を騒ぎ立てている米国だが、トランプ大統領は抗議運動に対し軍の配備も辞さないと武力で鎮圧する姿勢を示している。これは「人種差別に反対する人々による差別主義者、抑圧者とのたたかい」であって、単なる「黒人と白人の対立」ではない。
在日朝鮮人も米国の黒人と同じように人権を踏みにじられ続け、自己、民族の解放のために闘ってきた。現在も在日朝鮮人への民族差別、迫害はとどまることを知らない。日本でも黒人男性の殺害事件について声をあげる人々が多くいる。他方で自国にあふれかえる差別については目も向けず無視を決め込んでいるが、それは都合が良すぎるのではないだろうか。
(全)