〈友好への種を撒こう 8〉作家・中山千夏さん
2020年06月10日 14:38 主要ニュースそれぞれの「ライツ」輝かせて
声優や俳優、歌手など芸能人として一世を風靡し、1980年には当時最年少で参議院議員に当選。その後は直木賞候補や日本絵本賞に選ばれるなど、作家として活動を続ける中山千夏さん。「権利は本来的に正しいもの」と考える中山さんは、高校無償化問題などで権利を主張する朝鮮学校の生徒たちに「めげないで。自信を持って」と訴える。
―昨年、子どもの権利に関する絵本を執筆されました。
これまでいろんな社会運動にかかわってきた関係で、出版社から「子どもの権利条約」発行30周年を機に、子どもの権利について書いてほしいとお願いされ、書くことになりました。
社会運動にかかわることになったきっかけはウーマン・リブ(1960-70年代の女性解放運動)です。それまでは運動にあまり興味のない芸能人でしたが「女は家庭を見ていろ」という価値観には違和感がありました。マスコミで仕事していた関係で革新的な言論に触れやすかったのもありました。
女性の権利に目が行ったのは、自分が損する側だったからでしょう。でも、運動をしている内に、よく考えてみたらこっちが抑圧する側というのもいっぱいあるというのが見えてくるんですね。例えば部落の問題や在日の問題。決して自分では抑圧しようとは思っていないけど、気づかない内にその立場に立ってしまう。それがすごく不愉快でした。
ずっと運動をやってきて、行き過ぎて国会議員になったりもしました。(笑)
けれど、社会全体の仕組みとして、なるべく抑圧される人が出ないようにしたいと思いながら続けていると、それは一人ひとりを大事にすることが大切だという所に行きつきました。つまり、全ての命を大事にすること。命はどれが良い、悪いというのはない、一つ一つがかけがえのないもの。今回の本ではそれを伝えようとしました。
―本では「権利」を「ライツ」と表現されました。
「権利」という言葉は本来の「ヒューマンライツ」の「ライツ」にふさわしい翻訳ではないと思ったからです。