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wamが「日本軍慰安所マップ」を公開/23カ国・地域のデータ掲載

2020年03月02日 09:48 主要ニュース 歴史

軍による組織的性暴力、犯罪性浮き彫りに

日本軍性奴隷制に関する資料を収集、展示しているアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam、東京都新宿区)が戦時中に日本軍が設置した慰安所の所在地を示した「日本軍慰安所マップ」を10年ぶりに改訂し、ウェブサイト(https://wam-peace.org/ianjo/)で公開した。マップでは、被害者が名乗り出たり、調査が行われたアジア太平洋の23の国・地域における「日本軍慰安所」の地点を表記。各地点について、被害証言や公文書などの根拠資料を合わせて掲載した。

10年ぶりの改訂、新資料を追加

wamでは、▼日本軍性奴隷制被害者の証言や目撃証言▼市民や研究者が集めた各国の公文書や戦犯裁判記録などの軍関係資料▼「日本の戦争責任資料センター」が、国会図書館などで集めた元日本兵の手記で慰安所に触れた記述――などをもとに、09年に慰安所マップを作製した。その後、新たな被害証言や公文書、研究者による調査の進展、日本軍性奴隷制に関する議論が積み重ねられたことを受け、今回、マップを改訂しウェブ上で公開した。

「日本軍慰安所マップ」©アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)

ウェブ上のマップに赤い点で示されているのは、慰安所に関する証言や公文書が見つかった地域だ。慰安所が設置された地域は朝鮮半島、ロシア、中国、パプアニューギニア、インドネシアなど、日本が侵略・占領したアジア太平洋地域のほぼ全域に広がる。

今回、マップの改訂にあたって議論されたのは「マップに何を含めるか」だった。従来のマップでは、日本軍の慰安所に入れられた女性も強かんされた女性もすべてが性暴力被害者であるということから、被害を受けた地点をすべて地図に含めてきた。今回の改訂に当たっては、対象を日本軍が管理した慰安所に限定した。

wam事務局の山下芙美子さんによれば「日本軍が設置・管理した慰安所こそが、軍による組織的な性奴隷制であり、諸外国における戦時性暴力とは異なる日本軍の犯罪の特徴である」という考えから、今回のマップでは日本兵による強かん事件の発生場所や企業慰安所を含めなかった。

「掲載対象を軍が管理する『慰安所』に限定しただけでも、これだけの証言の広がりがあることをマップで可視化することができた。当時の日本軍の戦況を示す資料と慰安所マップを合わせてみてもらえば、日本軍の動きに合わせて慰安所が作られていく組織的な性奴隷制がより鮮明に浮かび上がってくる」(山下さん)

被害者証言裏付ける資料に

日本軍慰安所マップを開き、対象の地域をクリックすると、それぞれの軍慰安所に関する情報の根拠資料にアクセスすることができる。掲載資料は、被害女性の証言や兵士の手記、目撃証言のほか、日本軍や政府関係の資料、連合軍作成資料、被害国の実態調査といった公文書で構成され、データは数千にのぼる。

マップからは、各地の日本軍性奴隷制問題の研究の広がりも見て取れる。

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