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〈それぞれの四季〉先入観/黄純実

2019年09月01日 14:16 コラム

渡仏前に抱いていたフランス人に対する先入観と今の印象は全く異なる。

例えば、フランス人は時間にルーズ、みたいな勝手な考えを持っていたが、皆、普通に時間は守る。むしろ、フランスだからいいか。という感覚のアジア人の方が時間にルーズだったりする。私もその一人だったので非常に反省している。

フランスに来るまでは、フランス人は傲慢だという先入観もあった。

人によるかもしれないが、少なくとも私の周りに傲慢で気性の激しいフランス人はいない。

みんな優しいしアジア人だからと馬鹿にしたりしない。

逆にアジア人を物凄くリスペクトしていて、アジア人でよかったなと思える。

母国語に対する自尊心の強さからフランス人は英語を喋らないという話も聞いたことがあるが、そんなことも全くない。

母国語に対する自尊心があるのは確かだが、英語も喋るし、逆に英語を練習したがっている印象を受ける。

多少の違いはあれど、国が違いによる大きな違いはない。同じ人間だ。

アジア人女性はフランスではモテると言われているらしいが、アジア人だからモテるのではなく「魅力的な人」だからモテるのだと思う。

当たり前のことではあるが、「この国の人はこういう人だ」と決め付けることはできない。

自分の国、民族を表現し、守ることはとても重要なことだ。しかし、心の中の国境をなくして、いち個人として人と接するという考え方も、また大切なことだと思う。

(パリ、音楽院生)

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