歴史家・中塚明氏が講演/日本言論界の歴史観を辛辣批評
2019年02月12日 11:28 歴史 主要ニュース近代の日朝関係史研究の第一人者である中塚明・奈良女子大学名誉教授の講演が8日、東京・文京区民センターで行われた。「韓国三・一独立運動100年~東京での2.8宣言の日に」と題した講演で中塚氏は、「3.1独立宣言はこんにち、日本人にとってどのような意味を持つのか。日朝の歴史、とりわけ近代に日本が朝鮮に何をしたかを知らずして、朝鮮人の訴えに応答することはできない」と日本の歴史無知を厳しく批判した。
独立宣言の問いかけ
中塚氏は近代の日朝関係の歴史を60年にわたって研究してきた。今年卒寿(90歳)を迎えるが、歴史改ざんを許さない辛辣な批評眼は依然として健在だ。最近も新著『日本人の明治観をただす』を高文研から上梓。講演会は新著出版記念として高文研が主催したものだ。
中塚氏は講演の冒頭、「3.1独立宣言は単に朝鮮人の宣言ではなく、日本人への呼びかけも含んでいる」と指摘。
朝鮮解放を求める朝鮮民衆の抗日独立運動が全土で巻き起こった1919年3月。1日、京城(現在のソウル市)のパゴダ公園で発せられた「3.1朝鮮独立宣言」には以下のような文言がある。
“…日本の学者は講壇において、日本の政治家は実際において、わが祖宗の世業を植民地視し、わが文化民族を蛮民視し、もっぱら征服者の快をむさぼるのみであった。わが久遠の社会と、卓越せる民族心理とを無視するものとして、日本の不義を責めんとするものではない。自己を策励するに急なる吾人は、他を怨むいとまはない”
“…日本をして、その邪道から脱出せしめ、東洋の支持者たる重責を全うせしめ、中国が夢寐にもわすれえない不安、恐怖からこれを脱出せしめ、東洋平和の、またその重要なる一部をなす世界の平和、人類の幸福に必要なる段階たらしめんとするものである”
すなわち、「決して日本の植民地支配に対する糾弾の宣言ではなく、日本と共にアジアの平和のために努力しようではないかという呼びかけである」(中塚氏)。