〈取材ノート〉日本のてっぺんで
2012年08月29日 09:37 コラム祖国が解放されて67年目になる日を、日本の頂で迎えた。初の富士登山に挑戦したのである。
出発前は天候が危ぶまれたが、無事晴天に恵まれた。昼過ぎに5合目を出発、8合目の山小屋に着いた頃にはすでにどっぷりと日も沈んでいた。仮眠をとった後、午前0時過ぎには再度アタックを開始。頂上はあいにくの空模様で、期待した御来光は仰げなかったものの、高山病にも負けずに、日本のてっぺんを踏みしめた感慨が込み上げた。
そんな頂上の山小屋に飾られた、一つの旗が目に留まった。南の登山クラブのものだ。朝鮮半島には3,000メートル級の山がないため、南の登山家たちが富士山などの高山を登りたがるという話を耳に挟んだことはあったが、旗を見ながら一人心和ませた。同時に、一抹の寂しさも込み上げた。
今年、朝鮮人強制連行真相調査団が結成40周年を迎えた。1972年8月15日、沖縄県で日本人と朝鮮人が手を取り合って発足した調査団は、以来、日本の過去清算のための地道な活動を続けてきた。
いま独島問題にゆれている。暗い過去を正当化し続ける日本の姿勢が、この問題には色濃く映る。それ以上に、北側に対する日本の態度は、幼稚で浅はかだ。今日(29日)開催される朝・日政府間交渉での日本の真しな対応を願うばかりだ。
日本を代表するこの山は、アジアの人々から「侵略のシンボル」と見られた時期もあった。平和を目指す人々の努力によって、山が山として愛される、そんな日が来てほしいと思った。(茂)