第2回神戸朝高コンサート、兵庫・宝塚市で約250人が観覧
2012年02月22日 12:02 主要ニュース”共に生きることの大切さ”
「第2回神戸朝鮮高級学校コンサート『吹奏楽と詩の夕べ~武庫の流れと共に~』」(主催=朝鮮学校をささえる宝塚市民の会、後援=宝塚市)が15日、兵庫県宝塚市のソリオホールで行われ、大島淡紅子、北野さと子ら宝塚市議、神戸市、大阪市などの各界各層の市民、文化人、同胞など、約250人が観覧した。
国際交流の生活化を
宝塚市における日朝市民交流は、宝塚朝鮮初級学校(2002年に休校)を中心に地道に続けられてきた。日朝の小中学生や教員たちも文化、芸術、スポーツなどの交流によって、同じ地域で生まれた者同士、共に生きることの大切さを共有してきた。今回のコンサートは、このような交流の一環として開催されたものだった。
コンサートはまた、「宝塚市民の会」の日本市民が中心となり主催した。朝鮮高級学校に対する「高校無償化」制度の実現に向けた演奏会として、また、朝鮮学校が置かれている状況を多くの日本市民に理解してもらおうという趣旨で開催された。
「宝塚市民の会」の佐々木基文代表(コンサート実行委員会代表)はコンサートであいさつをした。これまで宝塚市で行われてきた日朝市民交流の歴史について紹介し、今後も市民交流を重ね、国際交流の生活化を深めていくことについて指摘。コンサートを後援した宝塚市の中川智子市長からの祝電も紹介された。
コンサートでは、詩人の河津聖恵さんによる「ハッキョへの坂」、許玉汝さんによる「ふるさと」の朗読、神戸朝高吹奏楽部による「道~遠くにいても心はひとつ~」、同校声楽部による女声重唱「ふるさとメドレー」などが披露され、会場は万雷の拍手に包まれた。
コンサートの最後には第3回コンサートを開催することが宣言された。
一方この日、会場ロビーでは、朝鮮学校への「無償化」制度適用を求める首相、文科相あてのハガキを入れる箱が設置され、138枚が投函された。
力強い公演に絶賛
力強い公演内容に観覧した日本市民や同胞たちは絶賛していた。
尼崎市から駆けつけた文さんは、「すばらしい公演だった。詩の朗読を聴きながら、涙があふれ出た。一日も早く、『無償化』が実現することを願っている」と感想を語った。
神戸市から駆けつけた松田さんは、「この種の催しでは、いつも日本人であることを恥ずかしく、後ろめたく感じさせられる。しかし今回、神戸朝高声楽部による『ふるさと』を聴いて、日本人である自分と向き合うことができた。多くの日本人が聴いて泣きたくなるような歌があるように、朝鮮人にも当然ある。公演ラストの『リムジン河』では、涙が止まらなかった」と語った。
米国から来たという、ジョン・ヘンリーシェリダンさんは、「信じられないほど、すばらしい演奏だった。すごい。おめでとう!」という感想文を残した。
この日、朝高生たちは公演を通じ、学校生活を楽しく誇らしく過ごしている自分たちの姿を紹介。司会を務めた神戸朝高の崔仁美さん(高3)は、未だ「無償化」制度から除外されている現状に、「私たちが何か罪を犯しましたか? 未来を夢見るのはダメなのですか?」と語りながら言葉を詰まらせ、参加者に多くを問いかけた。
宝塚市の小野さんは、感動して涙が出たという。演奏技術、表現力、そのレベルの高さに驚き、感動したと述べ、「神戸朝高の吹奏楽合奏『鼓動~世紀を超えて~』でアリランのメロディーが流れたときは圧巻だった。朝鮮半島に住む隣人として、在日朝鮮人をはじめ文化背景の違う外国籍の人々と理解しあい共生できる社会にしていきたいと思う。音楽の力でそのようなメッセージを伝える朝高生と日本の生徒が『無償化』などにおいて同じ権利が受けられるよう支援したい」と話した。
また、ある参加者は、「感動と共に、怒りが沸いた。日本政府の対応は許せない。自分にできることをしていきたい」と力強く語った。
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「宝塚市民の会」ではこの間、昨年に続き1月25日、30日、今月6日に阪急「宝塚」駅を中心に「無償化」実現のための街頭宣伝を総聯宝塚支部と合同で行った。また、独自に絵葉書を作成、販売した利益を、東日本大震災復興支援として東北、福島の朝鮮学校とともに地元の伊丹朝鮮初級学校に送った。今回のコンサート開催もその一環だった。
「宝塚市民の会」のメンバーを中心にした「劇団水曜日」は現在、来る3月25日の東北朝鮮初中級学校卒業式第2部で創作劇「大地はゆれても」を上演するため、練習に励んでいる。
【宝塚分局】