校舎に響いた歌声
2026年02月08日 12:00 取材ノート
取材の先々でいつも驚かされるのは、子どもたちだ。先日もまた児童たちに驚かされてしまった。
1月31日に横浜初級で行われた校舎惜別式でのこと。式で卒業生を代表して発言した金有義さん(65)は最後に「万感の思いが込み上げるが、語りきれないのでひとつの歌で代えたいと思う」とし、「祖国を離れうたう歌」を歌い始めた。
この歌は1972年に再入国許可の権利を勝ち取った後、初となる学生祖国訪問団が作詞作曲した歌だ。その訪問団は東京中高・サッカー部と横浜初級・音楽舞踊部で構成されていた。
当時、金日成主席は多忙を極める中で訪問団を接見し、異国で学ぶ児童たちの公演を観覧した。その後も訪問団に祖国を満喫させるため、担当部署にスケジュールを充実させるよう指示したという。
金有義さんはこの時のメンバーだ。思い出の歌を歌いだした金さんだったが、感極まったのか声を詰まらせてしまう。すると、児童たちは互いに目を合わせ「一緒に歌お」と、小声で声をかけあって合唱し始めた。
筆者は児童たちの自主的な行動に内心驚愕。後で知ったことだが、この歌は下校時のチャイムになっていて、児童たちは自然と歌詞を覚えるようになるという。
児童たちの清らかな歌声は会場をやさしく包むようだった。そばで見守っていた教員は目元にハンカチを静かに運んだ。児童たちの中にも涙を拭う姿があった。
(晟)