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〈朝大専門家の深読み経済16〉「貯蓄から投資へ」とは?/卞栄成

2025年11月07日 07:34 寄稿

2005年に発足した在日本朝鮮社会科学者協会(社協)朝鮮大学校支部・経済経営研究部会は、定期的に研究会を開いて今年20年になります。本欄では、研究会メンバーが報告した内容を中心に、日本経済や世界経済をめぐる諸問題について解説します。

新聞や雑誌で「貯蓄から投資へ」という見出しを目にすることが多い。このキーワードは、在日同胞の経済生活と関連する問題でもある。今回は、このことの意味について考えてみる。

資産運用立国とは?

日本の個人金融資産の内訳をみると、現金・預金という安全資産の割合(2025年6月末50.3%、日本銀行「資金循環統計」)が圧倒的に多く、株式・投資信託等のリスク資産の割合は低い。「貯蓄から投資へ」を強調する見解は、この状況を変えるために、「もっとリスクにチャレンジして株式をどんどん買いましょう」と人々に呼びかけているわけである。

問題は、こうした見解が新聞や雑誌で取り上げられているだけでなく、金融当局が「貯蓄から投資へ」という思考に基づいて、資産運用立国政策を実施してきたことである。

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