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ニョメン・オーガナイジング⑮チームで乗り越える名もなき仕事/文・イラスト=張歩里

2025年09月03日 13:58 ニョメン・オーガナイジング

「見えない家事」「名もなきサオプ」

子どもが初級部生になり初めて「夏休みの壁」にぶち当たった。

子どもとの時間が急激に増える夏休みは、親にとって試練の季節なのだ。

夏休みを満喫する子どもを横目に、親は日に日に疲れがたまっていく。一般的には夏休み中に保護者が大変だと思うことの1位は「自宅での食事の準備」で、2位は「夏休みの宿題をみること」だとか…。近隣の公立学校に通わす日本の友人たちもふだん給食なのが、「学童」に通わせると毎日お弁当作りがあり大変だと嘆いていた。

夏だから傷まないように気を付けなければならないことと、毎日同じにならないようにすることなど、お互いに情報交換も盛んに行う一方で、朝鮮学校では毎日このお弁当作りがあることに心底労いの言葉をかけてくれたりもする。

反面、育休中の友人は学童も利用できないので、なかなかのハードモードである。食事の準備といっても一日2、3回の献立を考えるところから始まり、冷蔵庫にあるものとの組み合わせや、栄養バランスを考え買い出しへ。スーパーでは調味料や日用品など足りないものはないかなど考えを巡らせながら買い物をし、買ってきた食料を棚や冷蔵庫に収めるという作業があるのだ。普段料理をしない人は、料理を始める前段階に、これだけ多くの工程や作業が隠れていることに気付く。

そう、特に名前がついていないこのような家事を、「見えない家事」、「名もなき家事」と呼ぶそうだが、これが夏休みは何倍にもなって怒涛のように襲ってくるのだ! だからこそ家事の分担については、多くの家庭や夫婦間で問題になりがちだし、多くは女性たちの負担が大きくなっている。私もこの「見えない家事」によってここまで成長できたのだ。

一方ウリ運動においても、誰かがやらなければ同胞が困ってしまう「見えない仕事(サオプ)」、「名もなきサオプ」は多く、それらに支えられ生きてきたのだと改めて感じている。

いざ自分がニョメン活動をして思い知ったのが、この特に名前のついていない「名もなきサオプ」は同胞の人数分存在するし、時間がいくらあっても足りないということだ。だからこそ、それを肝に銘じて働く活動家たちにはただただ尊敬の念しかない。

活動の「見える化」

しかしこの名もなきサオプはやっかいで、多団体が一つになり同胞行事を行おうとすると、分担をしているつもりでも、一方に負担が重くなっているケースや、分担が原因で関係がギクシャクしてしまったりと、様々な「不満」や「負担」を引き起こす場合が多い。私も相手への「思い込み」でコミュニケーションのねじれに繋がったことが多かった。

朝青に青商会、総聯支部や分会など各階層の同胞が連帯しようとすると、経験値や所属する団体の特性によって認識のズレは多々あるし、モチベーションの有無や個人差、向き不向きのせいにしがちでもある。

でも元を辿ればコミュニケーション不足から生まれるもの。実行する前段階の思考や段取り、細かな管理など「名もなきサオプ」は、それを担っている人にしか見えづらいのだ。だからこれまで見えていなかった「名もなきサオプ」を目に見える「情報」にすることで、協力し合える環境を整えることが重要だ。

活動の「見える化」をきっかけにコミュニケーションを深め、分担に関する不満や負担は少しは解消できるはずだ。

そのうえで各団体の求めるポイントについては、きちんと意思共有しておかなければならない。そして日々でやることを決め、各々が淡々と、前に進めていくのだ。

このように多団体で活動をシェアする経験は、お互いへの信頼感の向上に繋がる。それは同胞社会の継続的な活性化において重要なプロセスではないだろうか。

家事も活動もチーム戦で

私もニョメン活動で少しずつ学んだ。

盛大に決起会を開催して、モチベーションを上げたところで、それは必ず下がるもの。「スタート=決起集会」と「ゴール=総括」だけの活動や行事は往々にして失敗する。「どうすればできるようになるのか?」「どこまでならできるのか?」「どうするのがベストなのか?」を粛々と話し合う「過程」こそが、結果に繋がるのだ。

ニョメン活動の基本には、このような良いコミュニケーションがあった。家事もウリ運動もチームプロジェクトだ! 一つひとつは小さなことでも、その数は膨大な名もなき「仕事」が日々続く。だからこそチームで力を合わせて、豊かな日々を作っていかなくてはならない。どんなやり方であろうと、家族や同胞を思ってやることには変わりはないのだから。

(関東地方女性同盟員)

※オーガナイジングとは、仲間を集め、物語を語り、多くの人々が共に行動することで社会に変化を起こすこと。新時代の女性同盟の活動内容と方式を読者と共に模索します。

(朝鮮新報)

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