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〈トンポの暮らしを支える/こちら同胞法律・生活センターです!60〉外国人の雇用について

2025年07月16日 06:30 暮らし・活動

日本社会では様々な分野で人手不足と言われていますが、外国人を雇用する際はどのような在留資格が必要かを必ず確認するようにしましょう。前回(連載第43回)に続き、外国人を雇用するにあたり注意する点等をQ&A形式で解説します。

①外国人の方を調理師として雇用したい。

Q フランス料理の飲食店を経営しております。料理のクオリティーを上げるため本場のフランスからフランス人の調理師を日本に呼び寄せて調理師として雇用したいと思っています。どのような手続きが必要ですか?

A 外国人の方がフランス料理の飲食店で調理師として就労する場合は在留資格「技能」が該当します。ただし、本場のフランスでフランス料理の調理師であったからといって誰でも在留資格「技能」を取得することはできません。

入管法では「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動」を行うことができる人でなければならないと規定しております。

また、調理師として就労する場合は「料理の調理又は食品の製造に係る技能で外国において考案され我が国において特殊なものを要する業務に従事する者で、当該技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該料理の調理又は食品の製造に係る科目を専攻した期間を含む)を有する者」でなければならないと規定されています。※一部の国で例外あり。

このようにフランス料理の調理師として雇用する際は上記の条件に該当するかを確認する必要があります。また、その経歴を証明できるように勤務していたお店から経歴証明書などを取得する必要があります。

では上記の条件を有する調理師を日本に呼び寄せるにはどのような手続きが必要か解説します。

調理師が外国で居住している場合、通常は日本の出入国在留管理局で「在留資格認定証明書交付申請」を行うことになります。※外国人が居住する国の日本大使館もしくは領事館での申請も可能です。

申請が許可されれば「在留資格認定証明書」が交付されます。交付された「在留資格認定証明書」を外国に居住する調理師に送付して、居住する国の日本大使館もしくは領事館で査証申請をして査証が発給されると日本に入国して調理師として就労することが出来ます。

②外国の支店に勤務する外国人の方を日本の本社で勤務させたい。

Q IT関連の会社を経営しています。当社には外国に支店があり、そこで勤務する外国人ITエンジニアを日本の本社で勤務させたいと思っています。どのような手続きが必要ですか?

A 外国の支店に勤務する外国人社員を日本に呼び寄せ、日本で就労させる場合は在留資格「企業内転勤」が該当します。

入管法では在留資格「企業内転勤」に該当する活動は「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動」と規定しています。上記の「技術・人文知識・国際業務」とは在留資格のことで、この在留資格に該当する業務を入管法では規定しています。ITエンジニアの場合はそれに該当するので、在留資格「企業内転勤」の活動に該当することになります。

在留資格「企業内転勤」の要件として入管法では「申請に係る転勤の直前に外国にある本店,支店その他の事業所において法別表第一の二の表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる業務に従事している場合で、その期間(企業内転勤の在留資格をもって外国に当該事業所のある公私の機関の本邦にある事業所において業務に 従事していた期間がある場合には、当該期間を合算した期間)が継続して一年以上あること」と規定しています。

このように日本で勤務させたい外国人ITエンジニアの方は直近で継続して1年以上その支店で勤務している必要があります。勤務期間が1年に満たない場合は該当しませんので注意が必要です。ITエンジニアの場合は在留資格「技術・人文知識・国際業務」の取得も可能ですが、大学を卒業してなければならないなどの学歴や3年以上の職務経験などが必要になります。

在留資格「企業内転勤」の場合は学歴や職務経験の要件が問われないので、例えば最終学歴が高校卒業の方でも取得できる可能性があります。手続きとしては①の答えと同じにように「在留資格認定証明書交付申請」をする必要があります。必要書類としては外国の支店に勤務していた経歴証明書などが必要になります。「在留資格認定証明書」が交付された後の手続きも①の答えと同じです。

外国人を雇用する場合には様々な形態があります。入管法の規定によりその内容によって在留資格が区分されていて、いくつかの要件に適合する必要があります。雇用する前に必ず確認をするようにしてください。また、在留資格の取得は、審査する行政庁の総合的な判断によりその可否が決まります。一定の要件を満たしていても取得できない場合もあります。

 ご不明な点がございましたら、同胞法律・生活センターへお問い合わせください。

(申鉉秀、同胞法律・生活センター所長)

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