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ニョメン・オーガナイジング⑬ニョメン結成世代に学ぶ/文・イラスト=張歩里

2025年07月09日 09:00 ニョメン・オーガナイジング

恐れ知らずでパワフルな声

総聯結成70周年に際して金正恩総書記が総聯活動家と在日同胞に寄せた書簡「結成世代の愛国精神を受け継いで、在日朝鮮人運動の偉大な新しい歴史を記していこう」の学習、真っ最中である。

先月も小欄で、在日朝鮮人女性運動の初雪の道に足跡を残した金恩順、朴静賢ソンセンニムの当時の年齢が、今の私とほぼ同じ30代後半だったと書いた。その後、ニョメン支部で5・25書簡の学習していくうちに、この方々の活動内容をまったく知らないのはいかがなものかと、そんな投げかけがあったので少し調べてみようと思い、在日朝鮮人女性運動を研究していらっしゃる現役の在日研究者の方の資料を拝借した。

1946年1月末、在日本朝鮮人連盟(朝連)の一部署として女性を管轄する「婦女部」が設置されたのだが、これが在日朝鮮人女性運動の幕開けであったそうだ。

その時、最前線で奔走されたのが金恩順ソンセンニムだ。生まれは1909年前後だというから当時37歳前後だった。

かのじょは当時の在日朝鮮人女性たちを、文字も学ぶことができず、家庭では寝る間もなく、やれといわれたことだけをする、まるで「牛や馬」のような扱いだと憤慨しているのだ。(本紙前身の民衆新聞1946年5月1日付より)

「夫が主人となって、その夫が毎日酒屋と遊郭に通い妾を囲っても、社会はこうした不合理な事実でも当然であるかのように公認」するこの悔しくて惨酷な状況から抜け出して、人として、一社会人としての資格を取り戻すために闘わなくてはならない―、もうこれ以上おとなしく黙っていられるかとばかりに、かのじょは「女性の解放なくしては民主主義的国家を完成することはできない」と力説するのだ! いやぁ、かっこいい…。

自分の言葉で目の前の世界を定義している。もしこんな演説を目の前で聞いていたら、震えたろうな。「私の人生、これで全部?」と、自分自身に問いかけていた女性たちは、恐れ知らずでパワフルな声に目覚めたはずだ。解放された民族の女性として、誇り高く生きなければと!

創造的エネルギーに満ちた活動

一方、同じく46年初頭に組織された荒川支部婦女部を束ねていたのが、当時35歳前後であった朴静賢ソンセンニム(1912年生まれ)だ。

資料を読むと、なんと、朴静賢ソンセンニムは1946年9月に次男を出産し、二男二女の母親だったそうだ。

当時荒川支部ではいち早く同胞女性の「名簿作り」が行われていた。これは創氏改名のみならず、結婚・出産後に「〇〇宅」「〇〇オモニ」とだけ呼ばれ、本来の名前を奪われた女性たちが、「本名」を取り戻すために行った活動である。それだけではなく識字教育、悩み相談など、多くの同胞女性の「叫び」を拾い、互いを鼓舞し合い、組織を強くしていった。

赤ん坊を負ぶって、もう一人を乳母車に乗せたまま、デモや集会に参加したという総聯結成世代の朴静賢ソンセンニムの姿は、その後も受け継がれニョメンではよく見られる光景である。抱っこ紐にベビーカーに、あるいは自転車の前と後ろに子どもを乗せて、どこにでも駆けつけるニョメンの仲間たち。会議では子どもたちの泣き声やはしゃぐ声があふれ、それでもみんなの目はきらきらしている。

結成当時の活動家たちと皮膚感覚を共有していなくとも、ありありと想像できるのだ。

このように創造的なエネルギーに満ちた女性活動家たちは「解放という文字を男子だけの独占物のように」捉えていないかと声高らかに問題提起する一方で、同胞女性の葛藤を運動が克服すべき課題として位置づけ、真の解放を目指していったのである。こうして婦女部設置から半年後には単一団体として「在日本朝鮮婦女同盟」が結成され、大阪を皮切りに日本各地に作られた支部、分会を集結する形で、1947年10月「在日本朝鮮民主女性同盟」が結成されたのである。

「解放」というフレーズ

北朝鮮臨時人民委員会は1946年7月30日、日帝植民地時代の残滓を一掃し、古い封建的男女関係を改革して、女性たちを政治・経済・文化などの社会生活に参加させるため男女平等権法令を制定した。

このような祖国での民主社会改革の動きに鼓舞される形で、女性解放という課題を朝鮮民族の真の解放を実現するための一課題として提起したニョメン。

今や「解放」という言葉は実に耳慣れない、あるいは古めかしいフレーズかもしれない。しかし、目の前に広がる言葉の意味が解らず暗闇に閉ざされ、いくらにもならない内職で血豆を作り、時には顔に痣を作った同胞女性たちが聞いたであろう「解放(ヘバン)」という言葉は、どれほどの重みをもった言葉であったろうか。今も解決されないままの課題たち。だからこそ、結成世代の女性活動家たちの声は、時代を超え確実に私たちの胸に息づいている。我々世代へのインスピレーションになっている。かのじょたちは間違いなく私たちのバックボーンとなっている!

(関東地方女性同盟員)

※オーガナイジングとは、仲間を集め、物語を語り、多くの人々が共に行動することで社会に変化を起こすこと。新時代の女性同盟の活動内容と方式を読者と共に模索します。

(朝鮮新報)

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