〈70年の自負、100年への自信⑤〉金鎮度さんが振り返る草創期の大学生活
2025年05月01日 09:00 寄稿「矜持と自負心を育んでくれた朝大は宝物」
朝鮮大学校は2026年に創立70周年を迎えます。当欄では、大学が歩んできた道のりや現在の教育内容、活躍している卒業生、70周年に向けた取り組みなどを多角的に紹介します。執筆は朝大の教員、関係者が担当します。(月1回掲載)
忘れられない感動
朝鮮大学校5期卒業生の金鎮度さん(85)は、大学が創立して4年目になる1959年4月に入学した。その前年に朝大は4年制大学へと改編した。
「アボジは5歳の時に他界し、家も貧しかった。高校時代もアルバイトをしながら学費を工面していた。家の事情を考えたとき、朝大には通えなかった」(金さん)
そんな中で、朝大への進学を決めた背景には、「路線転換方針」と総聯の結成があった。金さんによると、当時、多くの同胞児童、生徒たちが祖国解放戦争と関連した街頭宣伝や平和署名運動に明け暮れていたという。「勉強もせずに政治活動ばかりするものだから、保護者たちも自然と子どもたちを日本学校に送った」(金さん)。
このような状況下で、民族教育を活気づけるきっかけが連続的に訪れる。55年の総聯結成、56年の朝大創立、そして57年の祖国から贈られた教育援助費と奨学金だ。これらは、当時の同胞子女たちに