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〈長生炭鉱水没事故の現場で〉戦後補償の当事者は誰か/記者が見た課題

2025年02月08日 08:49 歴史 社会

山口県宇部市の東部、瀬戸内海に面した床波海岸から、肉眼ではっきりとみえる2本のピーヤ。排気・排水筒を意味するピーヤの存在は、かつてその一帯で海底炭鉱が運営されていた歴史的事実をいまも伝えている。昨今、この長生炭鉱での水没事故を巡って真相究明の動きが加速する中、多くのメディアや市民たちの関心も注がれている。それは、1992年に遺族を招き初の追悼集会を行った当時とは比べ物にならないものだが、一方で課題もある。2015年以降の取材経験を基に考えてみたい。

熱量の「ズレ」

3日目の潜水調査で発見された石炭や円板など

「遺族たちは、この場に来るまでにすごく期待した。犠牲者たちに会えるかもしれないと。(遺骨が見つからなかったことは)もどかしく悲しいが、あまりにも壮大な仕事なので一日二日でできることではないとも思っている」

遺族会の楊玄会長は2月2日、3日目の潜水調査開始にあたり、たくさんの記者たちを前にそう言葉を振り絞った。

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