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ニョメン・オーガナイジング⑨固定化したり分断させない同世代交流/文・イラスト=張歩里

2025年02月05日 11:20 ニョメン・オーガナイジング

インターバルが欲しい!

最近、わがニョメン支部では「縦」だけではなく「横」の繋がりを強化していこうと、同世代の集まりを企画している。それは昨今、子どもが卒業しハッキョコミュニティーから一度離れてしまうと、同胞社会との関わりが希薄化してしまう傾向があるからだ。

たとえば、幼稚班から中級部3年生まで県内に一つしかないウリハッキョに子どもを送る「オモニ」たちは、30代から40代前半頃までハッキョを拠点にしてあらゆる形でフル活動している。「役員」を引き受けた年は月1でハッキョに出向いているという。

端から見ていると同世代のオモニたちがわいわいと活気づきながら活躍する姿は、まさに「勇ましい集団」といった感じ(まだ私はデビューしていないから、こんな呑気に言っていられるのであろうが)。しかし、ない時間を割いて「ハッキョオモニ」として様々な活動にフル参加した「疲れ」から、いったんは距離をおいて「休息期間」がほしいという姉さん方の本音もちらほら…。

そりゃウリハッキョ「保護者の責任」から解放されたのに、「延長戦」突入って感じは否めないかもしれない。このインターバルの要求を単に個人や世代的な問題として解釈していいものなのか。そもそもニョメンに「試合終了」や「引退」という概念はないはずだから、この問題はしっかり考えるべき、かも―。

ライフステージでの「想定外」

現在40代の女性たちは、結婚して一年後には就業率が49%まで下がり(結婚前就業率は87.9%)、長子出産1年後には約34%にまで急落している。そして多くが家計補助のためにパートとして働く可能性が高くなる。また、18歳以下の子どもがいる専業主婦の家事時間はおよそ12時間近くにもなり、会社員でいえば明らかに過労死レベルなんだとか! 自身のライフステージでこんな「想定外」のことが待っているなんて想像した女性はどのくらいいるだろうか?

労働時間と家事、子育て時間にほぼ支配され、自分には時間もお金も割けない女性たちがインターバル要求世代なのではないか。だから「今度はニョメン支部分会でキックオフ!」とは簡単にならないのかもしれない。

大きな主語では括れなくなる30代

ニョメンの魅力は幅広い「縦」の層がさまざまな経験、苦難を分かち合うところにあると思ってきたが、「横」コミュニティーのあり方についてはまだまだ深く考えたことがなかった。一般的に時代的経験を共有した同世代は思考、行動で共通している部分が多いから、「友達」的な感覚で「横」を括りがち。私も「セセデニョメン」で知っている限りの共通の話題に話の花が咲く時間がとても大好きである。しかしいざそのすそ野を広げてみようとすると、わが30代は同質性より生活パターンの差異が一気に広がる時期だと気付いてしまう。たとえば20代で正規労働者デビューし、学歴や職種などに影響を受けながらパートナーを見つけた同胞女性は、ここで①どの階級のパートナーを得るか、②フルタイムの仕事を続けるか否か、③続けない場合は専業主婦となるかパート主婦になるか、というようにこのライフステージで数十種類のパターンに枝分かれしてしまうのだ。つまり「30代ニョメン」といっても男性に比べはるかに複雑で、大きな主語では括れない側面が多いのだ。

柔軟性ある同世代コミュニティー

かつてハッキョコミュニティーで生まれたあの「勇ましい集団」。私が思うに、どの時代もニョメン同世代コミュニティーは他世代には言えない「はけ口」の役割を担い、「ふざけた話+情報交換+作業決め」という高度な会話と能力を育む中で、その結びつきを強める特殊な「場」になっていたと思う。もちろん結婚の有無、仕事の有無、子どもの有無という三つの要素が交わらなくても、生活水準や意識の同質性より差異が大きくても、同胞女性は社会的弱者として物事を重層的に考える機会が多いし、だからこそどの団体よりも「複数の議題」で繋がれる柔軟性があるはず! 同胞女性を固定化したり分断させない同世代交流の模索が、今後どのような「勇ましい世代」を生むかを決めるのではないだろうか。

(関東地方女性同盟員)

※オーガナイジングとは、仲間を集め、物語を語り、多くの人々が共に行動することで社会に変化を起こすこと。新時代の女性同盟の活動内容と方式を読者と共に模索します。

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